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第47話
① 先生の秘密 その3 預かりもの
僕は髭と先生を何回か見て、
「私が預かるんですか? 」
「 はい、この髭は交代のなんというか、
まじないなんです。
この髭をつければ、ここで講義や研究ができるという、まぁほとんど研究は僕のみでしたけど 」
「 月に、ええと、週に何回くらい
代わるんですか? 」
大切な点なので、聞いてみた。
「 そうですね、週1回くらいかな。相手も他所で働いているので、休みの日に代わってました 」
あーやっとわかった、女の子たちが二重人格だと話してた、その原因がこれだったんだ。
なんか、先生の違和感の原因がわかったらスッキリしてしまった僕は、
さっきの驚愕も薄れて、
なんとなくもっと先生の話しを聞きたくなった。
「 良かったら、小野さんもまだですし、私お話したいかな、って思います 」
男ゴロシと言われている微笑みで先生を見やると
先生はまた赤くなって、
「 それでは、続きを 話す前に 」
といそいそと、先生はお茶を淹れ直しに、部屋の片隅のミニキッチンに向かった。
改めて先生を、後ろから眺める。
地味目の容貌だけど、髪は濃いブラウン系で、後ろに軽く流している。柔らかそうな髪が、襟足から少し長めに軽く肩にかかっている後ろ姿はとても姿勢が良くて、綺麗なんだね。
鈍感な僕には週一の変化は特にわからないけど、言われてみれば、
いつもは白いシャツなのに色や模様が入っていたり、ネクタイも微妙に派手だったかもしれない。
女の子達は爪までマニキュアが〜〜とか言ってたけど。
今、カップを持つ先生の指は関節のところもあまりゴツゴツしてなく、スンナリと伸びていて、爪は薄い桜色で、
でも、マニキュアは塗ってはいないよね。
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