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第48話

① 先生の秘密 その4 預かりもの 新しく淹れたお茶をテーブルに静かに置き、改めて僕の前に座り直した先生は、僕をシゲシゲと眺めて。 「 綺麗な人だと思いましたが、なんでか話も聞いてもらえるんじゃないかというか雰囲気があって。 実は僕は、 もうこの交代が嫌になって来たんです。 光と影、隠と陽で、それなりに補えて歩いて行けて、僕が多少折れれば平凡でも穏やかに暮らせると思っていたのですが。 相手、輝はどうやらこの学校で好きになった相手ができたらしいんです。 それで今度は僕と自分の仕事場を代えるように、今要求して来てる。 家に帰れば、その話し合いをしなくちゃならない。 だから帰りたくないんです。 この職場と仕事僕は気に入ってます 」 どんどん心のうちが溢れてくる先生。 髭のない先生の面差しは、幾分か幼く見え、 真剣に話す先生の眼は、白目の所が薄く蒼がかっていて、 そのままで、潤んでいる様な気がする。 「 なんだか今までのすべてが、裏目に出て来たような気がして。 こんな要求をどうやってはねのけたら良いかもわからなくて、彼がだれを好きになったのか、聞くのも怖くて 」 好きな人ができたから仕事変われって、それも随分我儘というか、短絡というか…… 「 ま、それを許して来たのが陰の僕だったのでね。 今更とも思うし、今じゃなきゃとも思うし 」 「 で、この髭は?預かるってどういう事なんですか? 」 女装すると微妙に姉貴のパワーが乗りうっったかの様に、性格が強くなる僕は思い切って尋ねた。 「 それは、僕が持ってるときっと渡しちゃうんです。 どんなにダメだと思ってても、断れない気がする。 なんせ凹凸、隠と陽ですから、 凸と陽には逆らいにくい… 髭が先生だという証ですから。 だから、家から出てからつけたいと思う。 あなたに、持ってもらっていて 」 「 ちょっと待って、ぼ、私が毎日渡すんですか? そんなの無理ですよねー それに相手がつけ髭もう一個買ったらどうなるんですか? バッティングしちゃったりして 」 この人らはなんてことしてたんだろうと、 僕は最初の驚きがぶり返して来た。

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