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第59話
④先生の秘密(先生語る)
問題の木曜日が来る。
彼女の小野君への調査で、
照に好きな人なんか大学にはいなさそうとわかったのだけど。
結局、臆病な僕は、
接触は無理矢理避けてきた。
照が正規の仕事で忙しかったのもあるのだけど。
なんとか今日まで会うことはなかった。
朝も照の部屋の前を恐る恐る静かに歩き、いつもはノックして、部屋で珈琲の一杯も一緒に飲むのだけど、
そのいつもの行為は無視した。
照、大学に来るよ、ね、髭をつけなきゃなんないし、その前にぼくを探すだろう……
どーしよう、アー。
と、ここ何日か毎日朝待ち合わせしているカフェで、珈琲を前にそんな事を思っていたら、
なんかアヘアヘと汗だくになりながら、彼女がやってきた。
間に合ったー‼︎と、ドス聞いた声で
びっくりしたけど、相変わらずの可愛い、ほんとうに可愛い姿がウルウルと来るんだよ。
よっこらしょっと僕の右横に座って、
アイスティーを注文した彼女。
「 先生、相方どこに? 」
「 え?」
「 いつもどこで変わるの?もーしっかりしてよ!
だって、そこでヒゲ渡して変わるんでしょ? 」
今日は木曜日、変わる日だから、
「 どこにいるの? 」
そうだし、そうだけど、
「 いつもはマンションで朝渡してたから、今日は早く出てきちゃって…… 」
「 バカ! 」
唖然とする僕に彼女は言った……
「 アホ!早く連絡とって探してこい! 」
と、その時
2人の横にすっと影を作った人物。
「 何してるんだ?今朝来ないと思ったら
こんなとこで、」
まさに双子、まさに双子の弟が。
「 ど、どうして、ここに? 」
徐に僕の左隣の椅子に腰を掛け、正面の彼女をトックリと眺めた照は、
「 今朝来ないなと思って、仕方ないから家を出た所でお前の後ろ姿が見えて、なんかやたらと緊張して急いでたから声かけずに、後ろを歩いてたんだよ。
そうしたら駅降りてここに入るから、
誰かと待ち合わせてるのかと、近くで観察してた 」
観察……
項垂れる僕。
彼女がちょいちょいと僕を小突いて、眼は言え言えと圧力かけられる。
ため息一発。左を向き照を真正面に据えた僕。
目の前のプレッシャーに
「 ごめん、もう、髭渡せない…
変わりたくない…
もう。ヤダ 」
と、言えた〜〜!
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