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第60話
⑤先生の秘密
照のこんなにびっくりした顔を見たのは初めてかな。
だけど隣の強烈な彼女は
もっと言えと言うばかりに、
僕を小突く。
「 今、まで、我慢してきた……
もう、しない。
お、お前、勝手すぎる……
もう我慢しない 」
「 じゃあ俺も我慢しないさ 」
「 え? 」
隣で彼女くんが呟いた。
「 あり得ないし、さんざん好き勝手やってきて……全く捻れてるんだから!」
「 この子、誰? お前の関係者? 」
って聞かれたから、思わず2人で、首を横に振ってしまった。
「 その髭、貸せよ
俺には大切なもんなんだ。
誰にも渡さない 」
照の言った言葉の意味のわからない僕と、
妙に納得したように微笑んだ彼女。
「 おい!今日授業サボれ! 」
来い……って、手を差し伸べられて。
僕は、ついていってしまうんだ。
好きなんだから、どうしようもない……
腕が取られ、
指を絡ませ、
触れ合う身体から、伝わる動悸。
彼女くんに、休講のお願いして、僕は今、どうしようもない気持ちのまま、
カフェの外に出る。
彼女は何度か眼を瞬かせたけど、その瞳を僕たちに向けて、
ヒラヒラと嬉しそうに手を振った。
口を一文字に結んだ彼女が
頑張れーー
って心の中で言ってくれたのを感じた。
僕は今、幸せなんだろうか?
何を頑張れば良いの?
答えは、照と僕と2人で、出すしかない……
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