61 / 325

第61話

⑥ 先生の幸せ 連れていかれたさきは。 クルマに乗せられて、行き着いた先は 富士山の見える 穏やかな湖畔のホテルだった。 一言も交わさない会話。 双子だから…分かり合える?って、そんなのウソ。 僕は今ドキドキして、怖くて、甘酸っぱくて、 大変なんだけど、 輝は平気な顔をしてる。 「 どう言うこと? 」 輝が聞いてくる。 僕は繰り返す。 「 もう嫌 、 代わるのは嫌 」 好きだから押し殺した気持ちの澱は溢れ出す直前。 輝は言った。 「 お前を離さない、離さないためにはなんでもやるんだよ、俺は」 どう言う意味?だろう? 離さないって? 困惑する僕に 輝は伝えた。 「 愛してるんだ、誰にも渡したくない。 兄弟だから双子だから、束縛するしかないんだ。 誰にも、誰にも渡したくない」 だからの束縛、だからの干渉。 もう、もう、もうちょっと、一緒に話そう。 輝……

ともだちにシェアしよう!