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第61話
⑥ 先生の幸せ
連れていかれたさきは。
クルマに乗せられて、行き着いた先は
富士山の見える
穏やかな湖畔のホテルだった。
一言も交わさない会話。
双子だから…分かり合える?って、そんなのウソ。
僕は今ドキドキして、怖くて、甘酸っぱくて、
大変なんだけど、
輝は平気な顔をしてる。
「 どう言うこと? 」
輝が聞いてくる。
僕は繰り返す。
「 もう嫌 、
代わるのは嫌 」
好きだから押し殺した気持ちの澱は溢れ出す直前。
輝は言った。
「 お前を離さない、離さないためにはなんでもやるんだよ、俺は」
どう言う意味?だろう?
離さないって?
困惑する僕に
輝は伝えた。
「 愛してるんだ、誰にも渡したくない。
兄弟だから双子だから、束縛するしかないんだ。
誰にも、誰にも渡したくない」
だからの束縛、だからの干渉。
もう、もう、もうちょっと、一緒に話そう。
輝……
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