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第72話

合同撮影会 その1 姉貴とその仲間が主催する、 年に何回か行われる合同撮影会。 やってきた当日は、例の下着をお披露目するからなのか、 流星の宣伝力が効いてるのか(一部のマニア相手だけど)、 普段より鼻息が荒い撮影者達の群れ にため息が出そう。 夏休みに入って次の週。 安藤君は照さんにラーメン屋の息子という所が気にいられて、今週から照さん主催のレストランオープンの手伝いバイトに行っている。 実はとても助かった。僕も忙しかったから会えない理由を聞かれるのは辛い。 女装の撮影会なんて、バレたら大変、恥ずかしくて安藤君と二度と会えなくなっちゃうよ。 今日は都内のスタジオでの撮影会。 広めのスタジオだからモデルの数がいつもより多い、6人くらい? たまに会うせいか、みんな一概に余所余所しい。 やはりどこかで知られたくないとか思ってる?ここだけのお付き合いとか…… ほとんどは顔見知りだけど、一人だけ初めて見た人がいる。 真っ黒な黒髪でうつむいているせいか 顔がはっきり見えないけど、 戸惑ってる様子が気になり、声をかけた。 「 初めてですか? 」 「 え? 」 「 ごめんなさい、声かけちゃって 」 黙ってこちらを向く顔がとても綺麗なことに気がついた。 黒髪の前髪に少し隠れたまなざしは少し寂しそう。 「 僕はこういう撮影会、結構参加させられているから、初めてだったら、わからないことあったらと思って 、僕でわかる事なら答えます。聞いて 」 白皙に桜色の唇ってこういう人のことなんだなと感心してその後ボヤッとしてしまった僕に彼は言った。 「 構わないでください 」 無視されるよりは少しだけマシな対応をされ、落ち込みそうになった僕に 後ろからでっかい姉貴の声がかかった。 「 後30分で撮影始めるから、 着替えてきて! 毛は今朝、きちんと剃ったでしょうね!」 うわ〜ん、そんなでっかい声で言わないでよ〜 急いでモデルたちが控室に移って行く中、さっきの人は、キョロキョロしながら誰かを探していた。 構わないでと言われたからにはもう僕から声をかけられないしね。 僕もスゴスゴと控室に向かった。

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