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第74話
合同撮影会 その3
ロリータ系のファッションって、なぜか男の女装に合うのか不思議。
浮世離れした感覚が本質を隠すのに役立つのかな〜
なんて考えながら次々とライトを浴びたステージに上がっていく僕ら。
待っていた参加者が、
カメラを片手に次々と群がってくる。
殆どオトコばっかりなんだけど。
あっ、なんか視線のきついのを感じて振り返ると。
やっぱり……
姉貴の義理の弟、流星がいた。
カメラを構えた知り合い数人とヒソヒソ喋りながら僕をじっと見てる。
本当に慣れないこの視線。
なんでいつもより気になるんだろう……
うわー、最後の下着。流星にじっくりと試着してるところを見られたのを思い出して、もう赤面。
いやいや撮影中ですから、気分を変えましょうよ。
僕の番が来て、熱いライトの中に入って行く。
和也さんが後ろから
「 杏果、凄くいいよ 」
と声をかけてくれる。
僕のロリータの衣装は、薄いグリーンとブルーのグラデーションになってる妖精みたいな色合いのドレス。肩と腕が丸出しで、ドレスを支えてるのは
ないオッパイの上ギリギリで回したレースとそれを引っ張ってる透明な肩のホルダー。
後ろから見ると、背中は途中まで裸で
ロリータにしては、露出の激しいドレスなんです。
男にしては透き通る、白い、薄桃色とか言われるシミひとつない、らしい、肌だから。
思いっきり肩から背中は出した方がと言う和也さんの目論見のドレス。
今の流行りはゴスロリ系らしいけど、
姉貴の言葉を借りれば、
こういうマニアたちの撮影会では、
パステルカラーの甘いロリータをエッチな感覚に変えた肌が見えますよ系らしい?が受けるんだって。
姉貴の言うことは何かしら間違った方向でおかしな気がするけど、
仕事に繋がる市場調査とか、先行考察とか言われると、いつも押し切られちゃう……
単なる悶々とした欲求が普段の仕事では到達できないストレスを吐き出す場の様にも思えるんですけど……
これは言うとアウトなので内緒。
和也さんの作る衣装はそれなりにデザインに方向性があって、彼の作るまともな服のエスキースでこういうのを作ってると思える。和也さんの衣装を着るのは嫌いじゃない。
少し肌が露出すぎる気がするのは
我慢我慢……
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