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第79話
合同撮影会 その8
近写オッケーに興奮したお客さんたちは、一目散にお目当の子の前に後ろに陣取る。
「 もー近すぎるよ、触んないで! 」
撮影会の時の常備携帯品の笛を
ピーッと鳴らした姉貴が声をかけてくれるけど、興奮してるから鼻息だけでも浴びちゃうんだよね。
結構高価そうなカメラでじっくりと撮ろうとする人やら、スマフォでシャカシャカ撮りまくる人やら、ポーズの注文までつけられて、ステージはもうカオス状態です。
「 お尻を向けて 」
「 腰振って 」
「 かがんでおっぱい見せて 」
って!僕は女じゃないのでおっぱいはありません!
「 大きく股開いて、お尻持ちあげて 」
「 うつぶせでお尻を突き出す様にね 」
全くなんかの撮影と間違えてる。
延長し20分ほどして、やっと終了の声がかかった。
渡されたタオルで汗を拭ってると、それまでくれっと言う"痛い"人がいて小野さんに思いっきり注意を受けてる。
あれ、あの初めての泉くんは、どうしたかな?と改めて周りを見回せば、
なんとあの怪しい男に声をかけられてる。口争いしてる?
大丈夫かな、と近寄る僕を遮って流星が、
「 おれがちょっと見てくるよ 」
とスタジオ出入り口側の隅で向かいあってる2人の方へ行く。
泉くんの声がだんだん高くなってきた。
「 あんたなんか知らない!
なんだよ、触んないで 」
これはトラブル?
和也さん達も気がついて出入り口の方を注視している。
怪しい男の人はハッとした様に、何かひとこと泉くんに伝えて、ドアから出て行ってしまった。
流星もその後を追って出て行った様だけど、泉くんが気になった僕は彼に声をかけた。(今度は無視しないでね)
「 大丈夫? 」
振り向いた彼の顔は真っ赤だった。
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