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第83話
合同撮影会 その12
「 嶺(レイ)さんて、AVの制作会社のだよね 」
と流星が聞くと、
「 うん、あの人は顔が広いからそれだけじゃなくて、モデルとコンパニオンなんかの調達もやるんだよ、便利屋さんだよな 」
と和也さんが応える。
うわーそんな事務所に抱えられてる新人だって子にどうやって近づくのか…。
そっと横から流星が囁いた。
「 俺に話したら、なんとかなるかもよ 」
そうだ流星はこう言う世界に慣れてるんだった。
「 さあ、着替え終わったら、おなかもすいたし打ちあげ行くから 」
姉貴の掛け声でぞろぞろとスタジオを後にした。
「 ちょっと和也には悪いんだけど、渋谷に出るね 」
「 渋谷に? 」
「 陽子が、会社のそばでおいしい中華屋さん見つけて来たのよ。何回か行ったけど、本当においしい! 」
「 へー響子が言うならそうなんだろう 」
渋谷の中華屋さんか、なんか安藤君の家もラーメン屋さんだとかいってたな。
と思いつつ、隣を歩く流星をうかがうと。少し難しい顔をしてた。
僕が見ているのに気がついた流星は小声で、
「 明日にでもその嶺さんの事務所に連絡してみる。
早い方がいいだろ?だから、さっきの封筒の話を教えろよ 」
「 できれば早く渡して終わりにしたい 」
一番後ろを流星と並んで歩いてる僕は、ここは頼るしかないと流星にさっきの俳優と封筒の話をした。
「 でも流星はどうやってその事務所に話をするの? 」
「 そりゃ、仕事がらみの話にするよ。
秋の撮影会の事でも出してさ 」
「それで泉くん本人にに会えるのかな? 」
流星も黙ってしまった。
本人に会うのはもっと違う理由がないとダメかもしれない…
それよりも専属する事務所の事もよくわからないし。
「 嶺さんて俺もよく知らない人だけど、姉貴はよく知ってるのかもな。
ちょっと嶺さんに先に会えるかどうか、姉貴に聞いてみよう 」
( 理由聞かれたらどうする? 」
「 ……2人でAVの企画練ったから嶺さんにちょっと聞いてもらいたいとか 」
「 AVって、何? 」
「 え?!おまえAVわかんないの? 」
びっくり顔の流星が、その後
「 へー 」
と言いながらにんまり笑うのが気になったけど、まぁ後で誰かに聞けばいいか。
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