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第84話

合同撮影会 その13 渋谷の駅から宮益坂を上がった角から三件目、青山通り沿いビルの1階のラーメン屋。 「 ここ? 」 「 そう 」 ラーメン屋ってのれん。 「 小次郎さんか……ラーメン小次郎 」 「 隣の犬と同じ名前だ 」 勝手なことを言いながら店に入る。 それなりに混んでいるけど、奥の6人席がちょうど空いていた。 奇麗だけどあまり愛想のないお姉さんが、 奥どうぞ~ と声をかけてきた。 左手のカウンターの奥からは ラッシャイ という大きな声がきこえ、席に着くといまどき珍しいくらい完全なおかっぱ頭の女の人がお茶を運んできた。 「 いらっしゃいませ 、水はそこのポットにありますから 」 「 えーと、生5つ?6つ?杏果はビールで良いの? 」 「 なんだよ6つって? 」 「 すぐ小野も来るから 」 そう言えば小野さんだけ一緒に出てこなかったんだ。スタジオを施錠して鍵を返しに言ったんだなきっと。 「 僕もビール 」 「 じゃあ生6つ、お願いします 」 「 ハイ生ね6っと 」 おかっぱの店員さんが繰り返した時に、 「 ウース! 」 と言いながら小野さんが到着。 つまみのザーサイとメンマがビールジョッキと一緒に運ばれてくる。 今度はあの奇麗なお姉さんも一緒におかっぱさんと2人で持って来た。 先ほどよりはいくぶんかは愛想もよく、 「 注文は? 」 と聞いてきた。 誰かに似てるんだけど、 僕がじっとおねえさんを見るのに気がついた流星もお姉さんをじっと見る。 気がついたお姉さんが僕らに冷たくひとこと 「 私の顔、珍しい? 」 慌てて首を横に降る僕と流星。 呆れたように陽子さんが、 「 あら、ごめんなさーい、あんた達ナンパする前に注文は? 」 とんちんかんなことを言うので、 僕たちはさらに固まった。 その横で壁の品書き眺めながらビールを一気に半分ほど飲み干した姉貴が怒涛の注文を始めた。

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