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第86話

合同撮影会 その15 「 それで?このお二人さんが"弟"な、わけ ? 」 さっそうと現れたのは、 アメリカの俳優かと思うほどのがたいのよさとゆるくウェーブのかかったダークブラウンの前髪の間から濃い顔がのぞくイケメンの男性。 さすがに僕以外の人は前からの周知だったらしく、驚いてるのは僕だけ?…流星も写真で顔は知ってたみたい。 「 響子ちゃん、紹介してよ。 この可愛い子ちゃんと、イケメン君 すごくいい」 「 そうでしょー特に左の杏果は今日の撮影会の目玉だったのよ〜 」 目玉、目玉って! 「 隣の流星は、この背丈じゃ女装にな向かないし、でも撮り映えはすると」 「 するする、いゃ〜いい 」 としげしげとぼくらを見ている。 そうだ、僕らの用事で呼び出してしまったのだから挨拶しなきゃ。 「 初めまして、姉がいつもお世話になっています。弟の杏果です 」 「 初めまして、前からお名前だけは聞いていました。響子の義理の弟、 市橋流星と言います 」 と丁寧にそれぞれ自己紹介をする。 「 はいはい、僕は、色々な仕事に絡んでいます、プロダクションをしている、山尾 嶺です 」 「 嶺さん、それでこの子たち。なんか嶺さんに頼みがあるらしくて、来てもらったんだけど。ほらほら話して 」 嶺さんに紹興酒を注ぎながら、姉貴から促された。 僕と流星は一瞬見あった。すぐに泉くんにあわせてくれと言ったら、今夜の事情も話さなくちゃならない。有名な俳優の私的な問題をどこまで話していいのかわからない。 おもむろに流星が話し出す。 「 あの、僕らでAVを企画ました。 その、ボーイズラブの 」 「 へー、君たちが?出るの? 」 「 はい 」 ゴクリと喉を鳴らした流星。 「 僕と女装した杏果で、学園ものの、それも男子校の学園もので 」 全く未知の話しに思わず流星をガン見しちゃう。大丈夫?こんな話しして 緊張してる僕らの横で小野さんが身体を震わして、笑ってるのが見えた。

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