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第90話
プールでデートは危険です
その1
寝返りばかりうっていた僕は、明け方になってプールの用意がまだだった事に気付き慌ててベットから起き上がった。
水着持ってたっけ?
確か中学1年の時 学校で必要だったから紺無地のを買ったはず。
なんと8年も前の水着を探す事になった。
自分の部屋を探すだけ探して見つからず、納戸に入って奥まで大きな音を立てて探していると、
わざわざたててるような大きな足音が聞こえてきた。
「 あんた~何時だと思ってんのよ! 」
うわーまずい、姉貴を起こしちゃった。
「 ごめんなさい!ちょっと探し物してて 」
「 こんな明け方から何をさがしてんの!
全く、え?何をさがしてんのよ 」
「 水着!僕の水着 」
「 へ?水着?あんたの? 」
頭の上にアイマスクとハテナマークをのっけて、姉貴は納戸の中に入ってきた。
「 あんたの水着って、中学生の時の?
そんなもんとっくに資源ごみに行ったわよ 」
「 え!ゴ、ゴミに! 」
わ~どうしよう?
焦りまくる僕を見て
「 なんで今頃……
ああ~今日のデート、プールなんだ〜〜 」
と急に姉貴の機嫌が回復したのは良いんだけれど。
「 あんたの水着、撮影会に着たのならいっぱいあるじゃない。ジャストフィットのやつ 」
笑いながら納戸の手前にあったケースを、開けてクイックイッと手招きする。
こわごわ近づくと、やっぱりそこには
女ものの水着の山。
「 とってあったんだ……」
と涙ぐむ僕を見て、
「 これなんかどう?
ブラの方しなきゃわかんないわよ 」
と差し出されたのは、
ローライズのレインボーカラーで、両腰のワキをおおきな輪っかでつないであるやつ。腰骨がもろに出て、とても男のものには見えないと、思うよ……
「 あんたのは "小さい" から、興奮させなきゃこれでいけるわよ 」
無理やりぼくにそれを渡すと
「 あー、もうひと眠りするから、このさき音をたてたら承知せんぞ ‼︎」
と自分の部屋に足音高く戻って行った。
プールで水着買えるのかな~?
安藤君に後でそっと聞いてみよう。
( 小さいとお姉さんに言われたことには全く動じない弟 、よく飼いならされてますw )
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