99 / 325

第99話

プールでデートは危険です その10 その後警備事務所の方に行き、 とにかく会社への報告はするので と書類にサインをするよう促される。個人情報に関する説明を聞いて、 同じ内容の書類にお互いにサインをする。 施設側の人も警察に行くようには勧めてくれたのだけど、僕が頑固に行かないと頑張るものだから、書類にサインしたことで、そういってはなんだけど僕が成人した男だったこともあって、ややホッとした様子。 安藤くんは最後まで反対だったけど、ここはぼくの気持を通してもらった。 痴漢されたなんて(電車でもたまにあったけど)そんなことを他人に言いたくない。 防犯カメラで、3人の確認をしてほしいと言われたので、入口のカメラの録画を見たけど、3人の顔なんか覚えてないので全く役にはたたなかった。 そんなことをしてたらすっかり時間が経ってしまい、そのことを安藤くんに謝ると、 「 バカ!大変だったのにおれが付いていなかったから、 ごめん、ごめんな 」 と泣きそうになりながら謝られた。 「 謝んないで、結局さわられただけなんだから 」 「 大丈夫か? それなら気分を変えて水族館の方にでも行ってみる? これからはぜったいに離れないから 」 「 え?トイレも? 」 「 当たり前だ、一緒に行く 」 真面目にそんなことを言うので僕は笑ってしまった。 やっと、笑ったな と安藤くんに肩を抱かれて僕もやっとホッとした。

ともだちにシェアしよう!