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第105話

プールでデートは危険です その15 「 ビールの前に、小椀に吸い物が出てくる 」 輝さんの予言通り出てきた、あったかい魚の出汁からよく出たスープ。 「 美味いな〜 ビールで胃袋を冷やす前に温めとく、 なかなか気が利いてる 」 「 ほんと美味し〜〜 」 具のないさっぱりとした魚の出汁は塩が効いていて本当に美味しい。 「 やっぱりプールで疲れたせいかあったかいものが嬉しいね 」 と女の人の評判も上々。 ガヤガヤと店も賑わっくる。 「 混んでますね 」 「 この辺の人気店だからな、 安藤くんの店も、なにかひとつ、こういう女の子の好きそうな個性だすともっとお客さん来ると思うけど 」 「 俺の店じゃありません。親の店ですから、それにうちはラーメン屋です、居酒屋じゃないですよ」 「 でもさ、お酒飲んでもらったほうが売り上げ上がるじゃない 」 なにやら僕を挟んで話しのキャッチボールが始まる。 そっか、安藤くんのところはラーメン屋さんだったね、うーん、なにか引っかかるんだけど、思いだせない。 丁寧にひかれ整った形のプリッと角のたった刺身の盛り合わせから始まって、焦げの香りもうまそうな秋刀魚の塩焼き、それにしゅっとカボスをかける、粗く刻んだ玉ねぎが歯ざわりもよく味わいあるツクネ、 ツヤツヤとした脂ののったアコウの煮魚。 どんどん並ぶ料理にさっきの話しは忘れさられたと思っていたら、急に前の2人が僕に話を振ってきた。 「 良かった、かおいろ良くなった〜 」 「ホッペが桜色になってる〜 可愛い〜〜 」 「 三枝くん、女のコみたいなすべすべな肌ダネ 」 その言葉で僕の横顔を、ジーーーっと見つめる輝さんの視線が怖い。 女の子!女の子は禁句です。

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