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第135話
仲良く? 君と 俺で?プールその後
その8
お芝居なのに、恋人じゃないのにだしちゃうなんて、ビキニの中で吐精したことがショックで、緩慢に濡れティッシュで汚れをぬぐっている僕を見ながら、
「 暫く休憩する?杏果ちゃん大変そうだから 」
小野さんが僕にタオルを渡すとそう聞いた。そう、なんでこんなことになってるのか、おかしな気分になってきてる。タオルを巻いてビキニを脱いでると、
「 うん、じゃぁ少し休憩 」
ホッとして僕はシャツを羽織って、一階に飲み物を取りに行きながら思わずため息が出た。あと何シーンこういうのを撮るんだろ。冷蔵庫を開けて適当にペットボトルの飲み物を持って振り向くと、流星が立っていた。
「 うわー、びっくりさせないでよ 」
「 なんだ、手伝いにきたのに。
杏果さ、お前さ 」
「 えっ?なに? 」
なにか言いたそうにしてる流星だけど、結局僕から小野さんと自分の分のペットボトルを受け取って階段を上がっていった。 へんなの……
飲み物で喉を潤してひと息ついた。
「 さあ、次はどこのシーンだっけ? 」
「 シャワーだよ 」
「 シャワー⁈ 」
「 水泳部なんだから、らしいところも撮らなきゃ 」
「 水泳部だったんだ 」
小野さんと僕ではもっちゃった。
「 先にワンピースで、黒髪。
次にさっきのはビキニでウイッグなし」
「 え?二役するの ?」
「 そう一応三角関係だから、双子の兄弟ってことになってる 」
「 双子⁈ 」
またもや小野さんとはもってしまった。
「 この間渡した台本に書いてあったろ? 」
やや不機嫌な声の流星。
「 え?あのメモみたいなやつに?書いてあったの? 」
それ以上言うとさらに機嫌が悪くなりそうなので、ワンピースの水着を持って先に浴室に向かった。
僕が着替えてウイッグを被ってると、小野さんがカメラを脱衣室に運んできた。
「 これが最後のシーンだから頑張って、 いい絵 撮れてるよ」
小野さん、優しいけど、でもいい絵って……なんかモヤモヤする。
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