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第143話

いよいよ、できたデモ映像を持っていざ行かん その5 「 全然違う 」 という安藤君の言葉。 覚えてるよね、前の部屋。 僕の部屋だって案内したんだから。 え?そう? )と姉貴なら簡単に惚けるんだろうけど、僕にはそんな大技ができるわけもなく。 「 部屋、変わったの? 」 と続けられた言葉に流される。 「 そ、そう、姉貴に代われって言われて……ごめんね引越しの途中で散らかってる 」 小さい嘘を重ねる恥ずかしさと本当に散らかってる部屋が恥ずかしくて下を向いた僕に、 「 前の部屋はホテルみたいだった。 この部屋人間らしくていいんじゃない?でも、可愛いらしいものが多いけど、お姉さんのものが残ってるの? 」 編みかけのレースや完成まじかのトートバッグ。僕の趣味を話していないから、更に僕は嘘をつくようになる。 「 うん、姉貴片付ける暇がまだないから僕の部屋に置いてある 」 「 兄弟で手芸好きなんだな 」 「 エ? 」 「 だって、杏果俺に手作りのアンクレットくれたじゃない。ほら 」 と安藤くんはそばのベッドに座って足首を僕につきだす。 僕はその前に跪いて、恭しく安藤君のしまった足首を見つめてしまう。 日焼けした男の左の踝に回る僕の作ったターコイズブルーの石と暗めの色のビーズで仕上げたそれを、毎日してくれてるの? 思わず、僕は安藤君のかかとを持ってアンクレットごとキスをおとす。 愛しくて、何回でもキスしたい…… 舌でアンクレットをたどりながらくるぶしをついばむ。 汗のせいか少ししょっぱいのが男らしくて好き。 「 杏果 …… 」 と言いながら安藤君が僕の頭を軽めにもじゃもじゃかき混ぜ、耳たぶを揉み込見ながら耳の中に指を入れる。 あん、よけいに止まらない……

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