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第153話
いよいよ、できたデモ映像を持っていざ行かん その15
乗り込んだエレベーターが5階にエレ上がる。嶺さんにあの動画を見せるのかと思いドキドキしてきた。
嶺さんだけだよね、安藤君は見ないよね。
と勝手に思い込んでた僕はとんでもないことになる事を考えてもいなかった。
エレベーターが開くと目の前には黒い光沢のある壁、そこに深いブルーの文字で
R e i Planning
と書かれていた。
両サイドがオープンになっているその壁を回ると、目の前は足元までのガラス張りの窓。暮れなずむ夜景が一望にできる窓になっている。窓の前、硝子の脚の上に蒼いマーブル模様の広い石のデスク。
その前に、がたいが良く、ゆるくウェーブのかかったダークブラウンの髪と南欧風の濃い顔。とにかく目立つ事この上ない嶺さんがゆったりと腰を下ろしている。
「 よお、来たな 」
と軽く挨拶をするのがピッタリ合ってる嶺さんの今日の服装は、上下とも丈の短い黒いスーツに、靴はなんかの皮の短ブーツ。それにスーツのインナーは着てない⁈え!着てないの?
違った、深いVネックのほとんど肌色のシャツを着てた……あードキドキした。
「 今日はありがとうございます 」
元気よく挨拶する流星に軽く頷いて、「 まぁ座ってよ 」
と今、回ってきた壁に沿い弧を描く形のフカフカのソファを指で示めされた。
うわぁ、造り付け⁈このソファ、脚がない。
「 宙に浮いてる! 」
驚いて思わず声に出した僕に微笑んだ嶺さん。
「 大丈夫、後ろの壁で支えてるから、君は響子の弟さんだっけ? 」
「 はい、三枝杏果です 」
「 きょうこ と きょうか、か、一文字違いなんだな 」
小野さんが
「 きょうか、って女性の名前でもおかしくないですね」と言うと、
「 ほんとだな、えらい美人だから、2人並んだら姉妹と思われるでしょ 」
答えにくい質問だよね。
嶺さんは僕が返事が返せなくても気にならないようで、その先を進める。
「良いのが撮れたっていうからうちの監督達も呼んだんだ、良いよね 」
え?たち?
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