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第157話
いよいよ、できたデモ映像を持っていざ行かん その18
デモビデオが終わり、監督とスタッフと小野さんが業界用語?を駆使して何か喋っている。
僕はビデオが終わると、握っていた僕の手を離してソファに座り込んだ安藤君に気がとられてそれどころではなかった。
「 安藤君、、 」と隣に座り、俯けてる顔を覗き込んだその時、
嶺さんの声が響いた。
「 ああ、良かった。ごめんね、ありがとう。
まだみんないる時に来てくれて 」
その声に部屋の入り口を見ると、
一人の細身の少年?が立っている。
艶やかな黒い髪の毛先が肩に少し触るほどの長さ、夏なのに薄い黒いパーカーのフードを被り、下ろした前髪から少しうつ向けた眼差しが憂えている……
なんて綺麗な少年だろう、と思ってると
監督が
「 おう、君が泉君か? 」
と声をかけた。
「 え?泉くん? 」
僕と小野さんと流星が一緒に驚きの声を上げる。
あの時も綺麗だとは思ったけど、ここまでとは……
驚く僕たちの前を通り嶺さんに近づくと、
「 こんばんは、仕事があるって伝言受けたんだけど 」
と、ややぶっきらぼうな泉くんのハスキーボイス。
薄い黒い長めのパーカー、レモンイエローと白のドット柄のショートパンツを履いてる。
細く長い脚がすらっと伸びて、その先には素足に黄色のヒョウ柄のワークブーツ。
横にいる監督たちからもため息が漏れてる。
「 どうして今夜はこんなに美形が集まったんだ? 」
「 はは、役得だろ、なかなかここまでは普通集めらんないよ 」
嶺さんがさも思惑通りと言うように微笑む。
「 泉くん、この人たち、若い子たちはわかる?先日の撮影会で一緒だったでしょ? 」
嶺さんから話をふられた僕は挨拶のために立ち上がった。
「 あ、僕、先日一緒に撮影会でモデルをした、三枝です 」
こちらを振り返った泉くんはじっと僕を見て、
「 悪いけど、知らない、覚えてない 」
「ええ! 」
その氷のように冷たい視線に僕は固まった。
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