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第158話
いよいよ、できたデモ映像を持っていざ行かん その19
泉くんの言葉に怯んだ僕に変わり、小野さんが話を続ける。
「 あの時は緊張してたんだろうね、
三枝はお化粧もしてたし。
僕はカメラを構えて君を撮ってた小野です。それで、こっちの彼は市橋。
改めてよろしく 」
握手を求めた小野さんの手も完全に無視する泉くん。
流星がため息をつきながら嶺さんの方に助けを求める。その時
「 おいこの子、あの映像で黒髪の方をやる予定かなんか? 」
「 あーと、ひょっとしてそういうことで二役だったって?もう1人が泉くん想定?」
「 あの、そうなんです。
トライアングルラブっていうか、先輩1人と後輩2人で? 」
なんで疑問形?と嶺さんに笑われる流星。嶺さんには泉くんに会う口実なのがバレてるのかな?まさかね……
「 で、僕はどの仕事で呼ばれたの? 」
また少し不機嫌そうな泉くんの声。
「 いや今回来てもらったのは、イメキャラのカメラテスト、監督とスタッフとの顔合わせだったんだけど、いま思わぬ面白いビデオを見たもんだからさ。流星君アレね、少し手を加えたら使えるよ、泉くんいれて面白い映像取れそうなんだけど、泉くんにはさ、色々制約があるんだよ」
「 僕、なんでもやるよ、汚れでもなんでも 」
「 汚れって、君古いね〜〜 」
って監督とスタッフは苦笑い。
「 とにかく、3人とも、、あっ4人ともちょっと時間くれる?待っててよ〜
泉くんの先にすましちゃうから 」
どっちにしても第一の目的は泉くんと会うことで、撮影会の時の"男の人"に頼まれた事を完遂するためだから、一二もなく待ちますと答えた。
下の会議室で始めようかという嶺さんに促され監督たちと泉くんが後について行く。
その時に泉くんの視線が僕の方を見た?違う安藤くんのことを一瞬見てすぐに視線をそらしたような気がした。
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