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第159話
いよいよ、できたデモ映像を持っていざ行かん その20
嶺さんたちが階下の会議室へ行くと、
流星が口をとがらせた。
「 あいつの態度、あんなんで話は聞いてもらえる? 」
「 嶺さんに本当のことを言って協力してもらえば?さっきも泉くんは仕事の制約があるって言ってたし、なんか知ってるんじゃないの? 」
小野さんの提案もそうなんだけど、
「 加太タケルの出てる刑事もののドラマ今凄い人気だもの。スキャンダルだったら大変だし、喋っても良いのかな 」
泉くんの存在があの俳優さんのなんなのか、もしかしたら、とボソボソとしゃべる僕たち3人。
一言も口をきかない安藤くんの事はすっかり頭から抜け落ちてた。
やっぱりこんなビデオ撮らなければよかったっていう結末になるなんて……
予想できたはずなのに。
1時間ほどで嶺さんが泉くんと2人で戻ってきた。
「 お待たせ、さてと 、
安来とはあのデモビデオ、ひねればいけるだろうって話になったけど 、実際に君たち出演する気?多分泉くんは出せないよ…… 」
何から喋れば良いかわからなくなった僕は何か言わなきゃと焦る。
「 何?そのビデオって」
と泉くんが間に入ってきた。
「 彼らが持ち込んできたデモビデオ。結構よくできてるんだけど、ね、君を出すわけにはいかない内容なんだ 」
「 AVなわけ?僕出る 」
「 何言ってんの、約束したろ?そういう路線では仕事しないって 」
「 そんな約束した?僕はなんでもやるって言ったし、この間の撮影会でも女物の下着着て撮影されたよ、誰かがどっかにもうアップしてるかもしれない 」
「 いや泉くん、あの撮影会はそうしないと約束して会員になってる人しか来ないんだよ 」
そう答える小野さん。たしかにsnsなどにアップは厳しく駄目だと言われて了承した人だけが入れる規定にはなっている。ある程度文章も交わしてるようだし。元々営利目的じゃなく純粋にやりたい同士が集まってしていた発表会がマニアを集める結果になって、年に何回か撮影会をすることになってるわけだから。
「 へーそうなんだ。でも約束なんて破るためにあるんだろ、
裸でも本番のAVでもなんでもやらせてよ、僕は有名になりたい 」
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