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第166話

いよいよ、できたデモ映像を持っていざ行かん その26 ここで怯んでたら渡せなくなっちゃう…… 僕は真山さんに話しかける前に、 一回深く深呼吸をした。 「 真山さん、僕は泉君に会いにきました。彼に渡したいものがあって 」 「 渡したいもの? 」 「 ある人から預かったものなんですが、その人が泉君に渡そうとしたら断られて、それで偶々そこにいた僕が預かりました 」 「 泉は断ったんでしょう? なぜ、三枝君きみが引き受けたの? 」 そう言われるとなぜ引き受けたのか、説明つかないことに今更ながら気がついた。 その人が必死だった、 何かわけがありそうだった? そして、気がついた。 僕自体が泉君とその人の関係に興味を持ったからだ…… 「 三枝は人がいんです。泉君とその人が揉めてる場面を見て断れなかった 」 と流星が話を続けるが、 「 余計なお節介だな、泉が断ってるならほっておけば良かったのに 」 冷たい表情でけんもほろろに断られる。 僕の興味半分な行為でここまで色々な人を巻き込んでしまってる。 恥ずかしくて泣きそうになる。預かった封筒が入ってるバックをギュッと握りしめて我慢をしてると、 「 うん、まぁそれはそうなんだけど、 真山さんも彼の事情を知ってるんでしょ? 実はさ、先日の女装、コスプレの撮影会は三枝君のお姉さんが音頭とってやってるものなのよ。 一応、彼らはその時のスタッフ。 三枝君は泉君と一緒にモデルをやった子なんだわ。 俺から頼んで泉君を入れてもらった。彼の要望を満たすのに安全だし最適だったからね! そんなところで怪しい男から預かったものをその場で臨機応変にできるかい? 知ってるだろ?アレは有名人だ 」 「 知ってますよ、うちにもコンタクトしてきましたから、 断りましたけどね、泉はまだ不安定だ 」 「 そうですか、泉が参加したがった撮影会でご一緒したんですか、 それはお世話になりました。 しかし大丈夫だと思っていた撮影会で揉め事があったとなると、あまり安全でもなかったんですね 」 「 そこそこ、なんでわかったんだろうな?告知もしたわけでもないのに……泉くんが自分で教えたってことはないの? 」 「 え?! 」嶺さんの発言に驚くほど僕ら。 「 彼が有名になりたいっていうのは、単純にそう思ってるわけじゃない、なんかワケありだよな 」

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