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第171話

いよいよできたデモ映像を持っていざ行かん その31 その日から僕の日常はひとりぼっちに適応するように、またゆっくりと変化もなく流れて行く。 全く外に出なくなった僕を気遣うように、ヒロシさんと姉貴か声をかけてくれる。 安藤君と付き合う前の僕に戻っただけだ。大学も夏季休暇に入って毎日家の中で慣れたハンドメイドワークで時間を過ごす。 あれから流星もなにも言ってこないので、あのデモ画像の先がどうなったのかと気になるけど僕から尋ねる事はしなかった。あの事を話すと、どうしてもあの晩の安藤くんと泉くんの事を思い出すから。 安藤くん、あれからどうしたのかな? 僕の連絡待ってるかな? でも、向こうから連絡がないって事は、もう、 恋人じゃないってことかな? 泉くんが恋人になったのかな? そんな事何回も問いかけながら繰り返しながら、手はせっせとアクセサリーにするビーズを編んでいく。 男っぽいデザインにしてるのは、やっぱり安藤くんにあげたいから。 作業に没頭していると、ふいにラインのメッセージの着信した音がした。 「 杏果、今晩時間ある? 一緒においしいものでも食べに行こう 」 和也さんからだった。 うん、和也さん、会いたい…… 和也さんになら、話せるかな? 久しぶりに外に出ようと思った僕は、和也さんに行きたい!と返信する。 「 荻窪駅で、6時に 。可愛くしてこいよ」 とワル猫のスタンプもついて返ってきたメッセージに心が少しほんわかした。 和也さんに会うのなら服装は気が抜けないな。 オフホワイトで襟にエキゾな刺繍のあるお気に入りのカットソーと暖色の横縞模様の入った膝下のガウチョパンツ、深い紺色のエスパドーリユを履き、髪の毛を後ろで緩く纏めるlowマンバンスタイル。 準備万端、気持ちが浮上してきたまま玄関のドアを勢いよく開けたら、 帰ってきたばかりのヒロシさんが開いたドアにビックリしていた。そして隣には割井さん。 「 今から、和也さんと荻窪駅で待ち合わせしてごはん食べてくるね 」 と心配させてたのがわかってる僕はきちんとヒロシさんに説明する。 ヒロシさんも、ホッとしたように 「 そうか、楽しんできて 」 と笑顔になった。 行ってこい、と僕の背中を軽く叩いたのは、割井さんだった。

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