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第174話

惑う こころ その3 驚く僕を前に、そのまま話は続けられた。 「 金ならあるから解放してくれって。 その金、家から盗んだのか100万くらい持って来たけど、そんなの聞くやつらじゃなくって、2人で組んで撮影させたら100万で解放してやるって言われて、彼と何本か撮った」 コップの中のビールを飲み干した和也さんは続ける。 「 でも今度はそれが恐喝のネタになった。彼は渋谷に家族がいて商売してたらしくて、そっち方面で脅されたらしい。でも、ある日、未成年の裏ビデオ販売してたそいつらの元がガサ入れされて、 急に解放されたんだよ。なんでか僕らのビデオは警察に持って行かれなかったらしくて、後警察からも何もなかったんだ。 それから僕らは会うこともないし、僕の知ってる彼の名はあだ名みたいなものだったから、本名も知らなかった」 そう言うと和也さんは辛そうに苦笑いする。 「 本当にひどい人間だろ?100万ものお金で助けてもらって一緒に地獄に落ちた相手の本名も聞かなかったって。 その後なんとか中学高校は卒業して、働いていたカフェで嶺さんに出会った。 モデルをやらないか?って、僕は汚れてますよって言っても、化粧してユニセックスで名前変えたらわからないから、 それからだよファッションに興味が出て、専門行って、今この仕事してる。 もちろんパトロン付きでね、だから食べていける。パトロンの紹介者も嶺さんだけどね 」 和也さんの話を呆然と聞いていた僕。 「 大丈夫?杏果? こんな話して、君の話し相手になるはずだったのにね 」 ううんと首を振った。 和也さんに比べたら、なんて緩い生活送って来たんだろ、愛されて愛する家族がいて、 「 僕の暴露話はこれで終わり! それで、杏果、なんかあった?響子も心配してた。元気がないし、 好きな子に振られた? あの子? 渋谷のラーメン屋さんの前で会ったイケメンの彼氏 」 「 え?僕、僕の相手が彼氏!って 」 「 わかるよ、杏果のあの時の様子見てれば、すごい会えただけで幸せそうな顔してたもの 、それに僕らとの関係隠したしね」 そんなに、見え見えだったの? 「 僕が話したんだから、杏果も喋っちゃえ、お前抱え込みすぎなんだよ 」

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