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第175話

惑う こころ その4 それから僕は、合同撮影会の打ち上げで話したその後の事。 預かったものを泉くんに渡すため、嶺さんにAVの動画で一芝居うったことがばれて怒られたこと。 泉くんのいるあのクラブのこと、支配人のこと…… そして、泉くんには会えたのだけど。 次々とぶ話をじっと我慢して和也さんは聴いてくれた。 お客さんも来なくて、そのうちおばさんは、ビールは勝手にそこから出してとガラス張りの冷蔵ことを指差すと 店の奥に入ってしまった。 流石にクラブの支配人室での泉くんと安藤くんのやりとりは冷静に話せなくって、鼻声で詰まりながら話す僕に和也さんは新しくビールを注ぐと、 「 あの子か、泉、なんか腹に一物ありそうだけど、 試着もあったし、僕が1番彼と長く接っしてただろ?違和感が半端なくある子だった。そう言えば陽子も似たようなこと言ってたな 」 「 え?陽子さんも? 」 「 ああ、彼女あの子の化粧もしただろ?大体のモデルの子は化粧する時に何かしら反応があるんだけど、全く平静で反応がないの、変わってるって 」 「 和也さん、あのクラブ知ってるの? 」 「 うん、前に嶺さんにパトロン紹介してもらう時に何回か行ったことあるかな 」 「 あそこの支配人の人 」 そこで言い淀んだ僕に、 「 ああ、知ってる。自分の事はしっかりと言ってくる人だから、真山さん 」 「 そ、そうなんだ、やっぱり…… 」 「 わかんないけど彼があの店で預かってるってことは、もしかしたら、 うーん、後は嶺さんなら理由は知ってるかな? 」 その嶺さんを僕らは怒らして、おまけに安藤くんには嫌われたかもだし。 またウルウルとかてしまった僕の頭を撫でながら、ビデオの話は響子がなんとかすると思うよ、と慰めてくれる。 ほんと?と見上げる僕に 「 安藤くん、彼氏のことは杏果がなんとかしなくちゃね 」 そうなんだ、けど、怖い。 「 ほれ、もう泣かない、それ以上泣いたら目が溶ける 」 笑いながら奥に声をかけておあいそを済ました和也さんは、未だお腹は大丈夫だろ?うまいラーメン食べに行こうとおでん屋さんを後にした。 帰りに荻窪付近のラ ーメン屋に寄るのかと思ってた僕は電車に乗せられ渋谷まで来たのにびっくりした。 「 和也さんの行く店って 」

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