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第182話
惑う こころ 11
俺は団 有二だと、その男の人は名乗った。僕はわけがわからず安藤くんの顔を見上げると、
「 杏果、この人は信用できるけど、一応、フリーのジャーナリストだから
今回のことを話して良いかどうかは俺でも悩むよ 」
「 おいおい、おうこ、何年付き合ってんだ。守秘ぐらい守れるよ 」
僕も説明なんて、できない。ただ会った人から預かりものをして、届けただけなんだ
本当にその通りなのに、なんでもこんなことになったんだろう?
僕は合同誌撮影会からの話をした。安藤くんにはわかってしまったことだし、今さら、今さら、どうってことないよね、ないと思う……
「 預かったものはわかんないんだよね 」
「 はい、わかりません、封筒だったというだけ 」
「 その泉という子はともかく、俳優の方は初対面の相手によく預けたよ 」
「 杏果はそういう気持ちにさせる子なんだよ……この子ならって 」
「 おいおい惚気か? 」
「 ち、違います。今安藤くんは泉くんとつきあってあるんですから 」
「そうなんだ。お前なんか隠してる? 」
「 泉はさ俺、会うの初めてじゃないから 」
え!
「 俺はこの前会ったのが初めてじゃない 」
「 前から知ってたのか? 」
「 いや、話したことなんかはなかった、見かけた程度だけど、向こうは俺を知ってるかはわからない 」
「 おいおい、会ってからその話をしてない? 」
「 うん、会った場所はロクでもないところだろ、俺だって喋りたくないからさ 」
ロクでないところ?って
「 俺、こういう商売を家でしてるから友だちも色々いて、昔はちょっとはぐれてた時期もあって 」
「 ああ、兄貴が居なくなってた時期か 」
「 ダンさん覚えてんだ 」
「京子がその頃苦労してたからな 」
僕はただ安藤くんとダンさんの会話を聞いてるだけだった。
本当に安藤くんの事をなにも知らな、いんだな僕は。
付き合っていたのに安藤くんの事を知ろうとしなかったから、嫌われたのかな?隠し事してるし、頭にくるのは当たり前だよね。
どんどん辛くなってきて俯いてる俺の頭を撫でる手。
誰?
「 杏果、もう少し我慢して……俺泉と付き合ってるのは…… 」
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