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第187話

惑う こころ 16 ハンドメイド愛好家が集まる気に入ってる店や、いかにもその方面の学生たちが品物をみつくろってる画材店をぶらぶらしていると2時間の時間はすぐ経って、僕は新宿に出てJRに乗り換えた。 五反田って、事務所なのか自宅なのか、何も聞いてない事に気付いたけど、そんなに遠いとこではないのであまり気にもしなかった。 次のラインは山手線に乗った時に届いた。 「 会うのが自宅になったから東海道線の辻堂駅の西口で待ち合わせしよう 」 辻堂?え、と江ノ島の先だよね、 ザッとググって 「 今からだと8時くらいになります 」 とラインを返すと、 「 大丈夫、そんなに時間はかからないから 」 と返ってきた。 急いで品川にまわり東海道線に乗る。 車内は通勤客で適度に混んでるから、スマフォの操作をする余裕もなく結局辻堂駅に着くまで誰とも連絡は取らずじまいだった。 辻堂の西口……あの離れた方だ。 ホームを歩いて端の改札から出ると、 「 三枝君? 」 「 そうですけど 」 「 あっ俺、泉に言われて迎えに来たんだ 」 「 え? 」 派手なシャツを着た短パンのいかにも遊び人風の男から声をかけられた。 怪しむ僕に泉に聞いてみてよ、 と言いながら持ってたペットボトルをクルクル回しスマフォをいじりだす。 会話をする気もないようなその様子に、色々聞いても仕方がなさそうなので、泉くんにラインを送ると答えはすぐに返ってきた。 [僕が迎えに行けないから、友だちに迎えに行ってもらった、車で送ってくれるはず] そう言われたらついていくしかないよね。 「 わかった?じゃ。こっち 」 彼に着いて階段を降りるとワゴン車が止まっている。 「 乗って 」 と男はスライドドアを開け、とんっと肩を押される。 運転席に後1人だと思っていたのに、後部座席には後2人、男が乗っていた。 ドアを閉めると車は乱暴に発進された。勢いでよろけた俺の身体を横の男が支えると、 「 女みたいに細いし、いい香りしてんだな 」 と、ニヤニヤしながら話しかける。 僕は嫌な気分になってくるのをなんとか抑えようと 「 泉くんは今から行くとこにもう着いてるんですか? 」 と聞くと、 「 泉? 泉なら後から来るんじゃねぇの 」

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