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第188話
惑う こころ 17
下卑た笑い声をあげながら後ろに座る男から首を掴まれる。
「 なんか、あんた泉怒らせた? 」
「 好きにして〜〜って言われてんだけど 」
後ろの男は何がおかしいのかずっと笑いころげている。
不安でたまらなくなった僕。
「 どこに、行くんですか? 」
車はスピードをあげる。
「 いいとこだよ、いいとこ 」
なんか、おかしい……
その時になって、昨夜の安藤くんたちの忠告を思い出した。
「 あんた肌もスベスベしてるな 」
「 ヒゲなんか跡もないのな 」
横と、後ろにいる2人の男たちに身体や顔を触られながら最悪な時間を過ごす。
どこまで行くんだろう?
ここまできても僕は俳優の自宅行くんだということを疑ってなかった。
車は大きい通りから脇道に入り、しばらく行って止まった。
助手席から降りた男が大きい門を開けて、車を中に誘導すると門を後ろでしっかり閉める音がする。
僕は嫌な予感で身体が強張るのを止められなかった。
「 震えてんの?へへ、可愛いなぁ 」
「 そのうち熱くなることいっぱいするからさ 」
熱くなること?
相変わらず彼らの会話はよくわからないことばかりだ。
そのまま徐行で進む車内から、
暗い中ぼんやりと建物の姿が見える。
車が止まり、降ろされる。
灯りが付いているところが玄関なのか後ろから肩を押されてそっちに歩くように促される。
「 ここは 」
俳優の事、秘密かもしれないからその先言い澱むと、
「 ここ?ここはさ、まぁあんたが頑張ってお仕事するところだよ 」
「 仕事?え?なに? 」
「 ほらほら、入って入って、待ってる人たちがいるんだから 」
両側を男につかれて、僕は進むしかない。
騙されたことに気づいたのは、玄関を上がって横の大きな部屋に入った時だった。
天井から降りる何本ものロープ、滑車?
寝台みたいな台、壁には色々なわけもわからない道具がいっぱいにかかっている。
床から輪っかのようなものがいくつも出ている。
最悪なのは、そこに照明とカメラが何台かセットされていたこと。
「 ここって! 」
「 そうそう、ここはね、スタジオ
それもね〜〜 」
と楽しそうに僕を部屋の中に押しやると、強いライトを僕に浴びせた。
「 ここでね〜〜SMショーの撮影をするんだよ〜〜 」
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