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第196話
惑う こころ 25
真山さんの話した、僕の知り合いって?サンドラさん?サンドラさんが誰に連絡したんだろう?
でも、なんで僕が湘南に向かったことや、降りた駅迄わかったんだろ?
「 泉、これはどういうこと? 三枝さんを紹介したんじゃなくて騙したのか?」
と泉君に真山さんが向き合った。
むすっとしたまま喋らない泉君。
溜息をついて、
「 三枝さん、知り合いの人たち心配してるから、連絡入れてください」
と真山さんが言うと、
取り上げられていた僕のスマフォを坂本さんが持って来てくれた。
「 スマフォまで取り上げてたのか?
誘拐じゃないか! 」
と加太さんが憤ったような声を上げた。
返されたスマフォで僕はすぐにサンドラさんに連絡した。
「 あ!杏果⁇良かった! 」
「 サンドラさん、心配かけて、ごめんなさい 」
涙が滲んできて声が震える。
「 泣いてるの⁇大丈夫?嫌なことされてるの? 」
「 うん今は平気 」
一回涙が出始めると止まらない。
その時スマフォから焦ったような声が聞こえた。
「杏果‼︎大丈夫か?今辻堂に入ったから、迎えに行くから!」
え?安藤君?
「 ちょっと、あんた!やめてよ、あたしが杏果と話してるんだから 」
ゴソゴソと音がしてボコンとへんな音がした。誰かの笑い声もする。
誰?
「 杏果、いい、今辻堂駅に着いたから、直ぐ行くからね! 」
「 う、うんわかった 」
「 それでね、あいつと変わって 」
「 あいつって? 」
「 真山よ 」
「え? 」
「 真山と変わってちょうだい! 」
サンドラさんのスマフォから聞こえるでかい声に真山さんはもう気づいたようで、僕の手からスマフォを受け取るなり、
「 すいませ~ん、お久しぶりです師匠~」
ととんでもない言葉を普段からは絶対に想像できない声で吐き出した。
アホだの挨拶が遅いだの裏切り者だの、電話越しに大きな声で散々毒づいたサンドラさんは真山さんからここの場所を聞き出すと、
「 クビ洗って待ってろよ‼︎ 」
とドスの効いた捨て台詞を吐いて通話を終了した。
「 誰ですか? 」
恐る恐る聞く加太さん。
僕以外の人はみんな当然そう思うよね。
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