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第199話

惑う こころ 28 泉くんの声は心が高ぶっているのか益々高くなった。 「あんたの耳に入るように芸能界の奴が出入りする店でわざとあんたの名前を出したりしてね。 みんな面白がってぼくを連れ回したよ。色々なパーティにも行ったし乱行もした。僕の悪い噂が広まればあんたの名声に泥を塗る。それがわかったから僕に近づいてきたんだろ? 養子縁組なんて考えてもいないくせに子どもにすれば僕を好きにできるとでも思った?」 「違うそれは違う。確かにうちのマネージャーからも泉の悪い噂は入ってきて事務所に知られれば面倒なことになるのはわかってた。だがわたしの気持ちはそうじゃない……5年前マリが死んだ後引き取ろうと思った。だがどうしてもその時の妻が絶対にダメだと、そうするなら子どもを連れて出て行くとまで言われて」 「ほら、見ろ、その程度のことだったんだ。そんなことで会いにも来れないような奴となんで今更……僕はこれからもっともっとあんたが恥かく事をしてやる! 裸になって、セックスだってなんだって、僕があんたの私生児だと名乗ったら、マスコミは本当に喜ぶよ!」 泉くんの激しい剣幕に加太さんは言葉も出ない様子だった。 「 うんうん、いい度胸だねぇ 大きな事務所の稼ぎ頭を脅すなんて 真山、この子は何ができる、ストリップやボールダンスくらいはできるの?」 とサンドラさんが尋ねると 「 いえ、今のところVR用のモデルとか 」 「 なんだ、それだけ? 全然裸にもなってないじゃん。 そんなことなら乱行って言っても大したことしてないね! 真山のことだからドラッグ検査もしてるんでしょ 」 「 もちろんです 」 「 じゃあ粋がってるだけだ 」 「 いやでも、やばい店に出入りしてそんな付き合いがあるから借金もあるし、暴力沙汰は手づるかある 」 安藤くんがそう言うと、泉くんの顔が青ざめた。 「 なんで、知って 」

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