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第200話
惑う こころ 29
「 特に渋谷でもまずい部類の店によく出入りしてただろう。あの店はうちの店から出前を取ってたんだ。
俺も何度か配達に行った時に泉があいつらと一緒のところを見かけたことがある」
「 借金?泉、聞いてないな。今回は借金も絡んでいるの?嘘はつくなよ、調べればわかることだから 」
真山さんが声を落として泉くんに詰問すると加太さんが堪らないように泉くんに話しかける。
「 なんでそんな奴らに借金なんて、わたしに言えばそんなもの…… 」
「 うるさい!なんでなんて決まってる、遊んでたらお金がいるんだよ。
働くところなんて見つからないし、クラブに出入りしてればあんたの名前を出したらいくらでも遊ばせてくれる。
1人にならなくてすんだんだよ、あそこに行けば!」
「 そこでオーナーに拾われたわけだ 」
嶺さんがそう言うと、
「 そうだよ、なんだか僕のこと気に入ったっていうから身体でも目当てかと思ったら、あの店にて連れてかれてここで働けって 」
「 オーナーは加太さんの友人ですからね、知ってたんです。泉が加太さんの子どもだっていうことを」
「 え?友だち? 」
「 加太さんが頼んだんですか?」
嶺さんが聞くと、
「 いや、彼がまずい場所に出入りしてる泉の噂を聞いて探しに行ってくれたんだ。それでひとまず預かるからと言って 」
「 なんだよ、グルだったんだ!」
とまた激昂する泉くんに、
「 泉!いい加減にしなさい。オーナーはお前を連れてくるときに大切な預かり物だとわたしに言ったんだ。恩を仇で返すようなことはしちゃいけない 」
真山さんが泉くんを恫喝する。
その場は静まり返った。
「 それで?なんで杏果にこんな事をしたのか教えてよ、泉くん 」
サンドラさんが静寂を破るように静かに問いただすと、
「 あんな格好で、女の下着なんか履いてるのに、みんなに可愛がられて、明るくて、馬鹿みたいにな奴……
三枝見てるとイライラしたんだよ。
預かった ものがあるからなんて、馬鹿正直に僕を探して。
こんな女装してカメラ向けられてるのに裸でヘラヘラしてるような奴におうこまで優しくして。
泣かせてやろうと思った。あんなエロなデモの動画撮影まで平気でしてるようなの、SMくらいさせないと泣かないと思ったから 」
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