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第207話
閑話
小次郎のアイドルは、ニャンニャン
その2
うわ!逃げた 」
と急いであの2人も乗ってくる。
結局逃げ切れなかった僕は2人に挟まれて渋谷まで行くことになった。
「 それで、どこに行くのよ 」
「 流星、シツコイよ! 」
笑いながら滝田さんが言うけど、滝田さんさっきから僕のウエストに手が回ってるんですけど……
バッグを掛け直して、その手を払うようにすると、今度は肩に手をかけられる。
なんなのこの異常なスキンシップは。
「 おい、滝田軽々しく俺の杏果に触るな 」
え?何⁇俺の杏果って 、
抗議の目を流星に向けると。
「 へー、杏果ちゃん、流星の親戚なのにものなの! 」
滝田さんに顔を覗きこまれた。近い近いよ〜〜顔が近い!
「 違います、僕はものじゃありません! 」
「 そうだよなぁ、どう見ても、ものじゃなくて、美人の男の子だよね〜〜 」
と、さらに両腕で抱きついてきた。
その時、
渋谷〜〜とアナウンスが入った。
僕は思いっきり滝田さんの足を踏んづけて流星の方に押しやると、2人が怯んだ隙にホームに降り、ごった返した人をかき分けて、改札を出る。
後ろを振り返って見たけど、流石に2人は直ぐには電車から降りられなかったらしい。
やればできるじゃん、
ホッとしながら宮益坂を登り安藤くんのお店に急いだ。
流星にバイトの先見つかってたまるか!
ラーメン 小次郎と書かれたお店の暖簾の前で一息吐いて、暖簾をくぐって中に入ると、
「 らっしゃーい! 」
という威勢の良い声がかかった。
「 おはようございます 」
「 あ、今日からね 」
と安藤くんのお姉さんが寄ってきた。
安藤くんの家族はみんな美形、まだ会ってないお母さんとお兄さんも綺麗なのかな。
「 こっちへ来て 」
と言われて店を出て外の階段で二階に上がる。
「 ここで、これに着替えて 」
と部屋に入って渡されたのは、
赤の上下。
広げてみると、背中に可愛い猫の絵が刺繍してある。
「 可愛いいですね 」
「 それ三枝くんオリジナル、特製だから 」
「 え?特製⁇ 」
「そう三枝くんだけそのユニフォーム」
少し微笑みながらそう語るお姉さんの目は笑ってない、なんか少し怖かった。
そう、最初にお店に入った時もこのお姉さんは美人なんだけど愛想のない人だったよね。
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