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第209話

閑話 小次郎のアイドルは、ニャンニャン その5 お兄さんに頷いて、僕はメニューをじっと見つめた。 「 うわー痺れる〜〜メニューと睨めっこしてる〜」 カウンターの方からまた声がした。 「 知らないものない?食べたことないもんとか 」 それならともう一回見直すと、 「 あ、これ、テンシンハン?天津飯 これ食べたことない 」 「 あ、似合う、萌えるなぁ 」 またカウンターからおかしな声がした。 「 天津飯ね、ちょっと待ってて今作るから 」 綺麗なお兄さんは微笑みながらそう言うと隣に立ってる大きな男の人となんか言葉を交わして厨房の奥に入っていった。 ポットに麦茶を入れたり、テーブルを片したりしているとお客さんから次々声をかけられる。 名前は? ねぇ年は? どこに住んでるの? なにが好き? 綺麗だけど本当に男の子? など答えにくい質問にもすべてお姉さんが僕より先に やや乱暴に答えてる。 三枝 成人 東京 内緒 男です こんな感じ、綺麗だけど本当に愛想がない。それでもお客さんたちはめげずに会話してる。 面白くて、楽しそうなお店だよね。 「 杏果チャン、できたからこっちにきて 」 お兄さんに手招きされる。 厨房への小さな扉を開けて厨房の中に入るときにめちゃくちゃドキドキした。なんかお店の大切な場所に入るような気がして。 お邪魔しまーすと言いながら遠慮がちに入ると厨房は細長くてコンロや調理台が並ぶその間は人がすれ違うギリギリの幅のサイズ。お父さんと大きな男の人がその間を忙しなく歩いている。 「 杏果チャン、よく味わって食べんだよ 」 とお父さんに言われ 「 はい!ご馳走になります 」 と言うとまたカウンターのお客さんから笑い声がした。 なにがそんなおかしいんだろう?と思いながら、お兄さんのいる方へ行くと、そこは小テーブルが二つ並んでる小部屋になってる。 所狭しと岡持ちやら段ボールが並ぶ中 テーブルの上にはホカホカと湯気が上がったラーメンと八角系のお皿に乗ったこんもりした円盤みたいなもの。 これが、これが。

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