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第211話
7 閑話
小次郎のアイドルは、ニャンニャン
その7
「 他にはうちで何か食べた? 」
「 えーと 」
頭の中で思い出す。合同撮影会の後、と、和也さんと来た時と、
「 棒棒鶏、酢豚、エビチリ、かに玉
と餃子6人前 あっそれと焼きビーフン
それから和也さんと来た時、味噌ラーメンに醬油ラーメンとやっぱり餃子 」
「 すごいな、四分の一くらいは食べてかな〜〜
それとかずやさんて? 」
「 あ、和也さんは、服飾デザイナーの人で、姉の知り合いなんです。ここに来た時多分二回ともお兄さんはお休みだったと思います。すごくカッコイイ人で、モデルもやってた人なんです」
「 モデル?から服飾デザイナー?
へー頑張った人なんだね ……」
少し考え込んだようなお兄さんに僕は何か余計なことを言ったかと様子を伺うと、綺麗な笑顔をぼくに向けて、
「 このあと15分くらいは休めるから、そこの畳で横になっても良いし、外に出ても大丈夫だよ 」
と言いながら空になった器を片付けている。
「 あっ、運びます 」
と慌てて僕も器をシンクに運んだ。
シンクの先はカウンターと対面する調理場で、お父さんともう1人の大きな男の人がお店が空いてきたのかさっきよりはゆっくりと動き回っている。
なんかそれがステージを楽屋から見るようにそれがとても面白かった。
「 そう言えばまだコウさん紹介してなかった 」
お兄さんが僕を手招きすると、
「 コウさん、三枝杏果チャン。今日からなんだ、よろしく 」
コウさんと呼ばれた男の人がこちらを振り返る。
「 よろしくお願いします 」
と頭を下げる僕に、
「 おう、春田浩介です、よろしく! 」
とニンマリと笑って挨拶してくれた。
「 えっと後は、そっかレイさんがまだだった?」
とそのままカウンターから顔を出して
「 レイさん! 」
と声をかけると、あの見事なオカッパの女の人が厨房の小扉の方から顔を出して、
「 あー三枝君ね、さっき話したけど、わたしは、ワン レイ。よろしくお願いします 」
と手を振られた。
「 後一人バイトの高校生がいるんだけど、今週はクラブの合宿で休みなんだよ 。だから厨房は三人、外は杏果チャンを入れて三人もしくは王国が時々手伝うから五人ってとこかな 」
とお兄さんが説明をしてくれる。
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