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第220話

閑話 小次郎のアイドルは、ニャンニャン その16 「 手でつかんでかじって食べなよ 」 お父さんに勧められ一本手に取ってみる。 「 熱! 」 気をつけて、と安藤くんが真剣な顔でおしぼりを渡してくれる。 他のみんながじっとみる中、僕はかじってみた。 「うわー美味しい!」 チャーシューのつけ汁で香ばしくなった皮と、プリプリでよく味のしみたゼラチンの所と、微妙なバランスが口の中てミックスする。 夢中になってかじっている僕をみて、 「 ねぇねぇ撮っていい? 」 と聞いたお父さんは安藤くんに思いっきり叩かれていた。 「 これ以上ラインに杏果の写真をあげたら絶交だから 」 安藤くんはお父さんにそう宣言すると、僕の豚足の油と汁でベタベタの手にウエットティッシュを握らせた。 京子さんとレイさんが休憩に入ると、安藤くんと僕とで接客は回すようになる。 小次郎は大きな駅の商店街の中にあるという立地もあるだろうけど、それにしてもひっきりなしにお客さんが入ってくる。 僕がオーダーに呼ばれる3回に2回は安藤くんが代わりにオーダーを取る。 その度にお客さんからため息とどよめきが起こるのはなんでなんだろう? そういえば黒板の日替わりメニューの名前が、 ニャンニャン定食 タマ ニャンニャン定食 ミケ ニャンニャン定食 トラ 変わってる……普通AとかBとかだよね。 お父さんは注文が入るたびに、 「 ニャンニャン定食ミケいっちょう〜〜 」 とか楽しそうだけど。 昨日の僕の上衣の背中のニャンコは白黒のブチ猫、今日のはミケ猫。 なんかこれと関係あるの? そう言えばやたらも僕の背中をじっと見る人が多いような気もするし。 うーん、定食のミケも頼む人が多いような気もする。 今日のミケ定食は、 酸辣湯麺とエビチャーハンのセットなんだけど、 この献立が好きな人が多いのかな…… 酸辣湯麺って何だろう?まだ食べてない。 あとで安藤くんに聞いてみよう。 京子さんとレイさんが戻ってきたら安藤くんの休憩になる。 「 俺今日酸辣湯麺にするから杏果あとで試食においで! 」 とまるで僕の聞きたいことが伝わったような安藤くんのお誘いに、 コクコク頷いた僕の耳にまたお客さんたちの太い悲鳴が聞こえてくる。 なんか変なことした?

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