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第223話

閑話 小次郎のアイドルは、ニャンニャン その19 何事もなかったかのように座った和也さんに姉貴たちも気を取られていたけどそのことを口に出すことはしなかった。 その時僕は、以前から和也さんが安藤君のお兄さんを何気なく気にしている事、団さんから和也さんに預かったものがある事を結びつけて考える事は出来なかった。 僕だって安藤君の家の事情はほとんど知らなかったし、まさかあんな秘密があるとは思ったなかったから…… 3人にビールジョッキを運んで、帰ったお客さんのテーブルを片付けていると、 「 お姉さんたち来てるんだね 」 見ると安藤君がシジミの入ってる皿を持っている。 「 あっこれ。メニューにないの 」 「 そうオヤジがラインで出してる特別メニューのシジミの醤油漬け。 お姉さんたちしっかりラインもチェックしてるんだな 」 「 うん、うちの姉貴がじゃなくて、陽子さん。あのベリーショートの女の人が大将のファンだって言ってた 」 「 ファン?趣味悪い 」 という安藤君に苦笑しながら、 「洸紀さんは?厨房にいないね」 と聞くと、 「 あー兄貴は早番だからさっき俺の賄い出した後上がったよ 」 「 え?そうなんだ、 気がつかなかった 」 「 厨房は傍にドアがあってそこから直接店を出るからね 」 「 じゃあ誰が酸辣湯麺作るの? 」 「 コウさんだよ、コウさんが兄貴に教えたんだから 」 「 そっか 」 「 え?なに? 」 「 うん酸辣湯麺お勧めするときに、洸紀さんが作ってるって言っちゃったから 」 「 お姉さんのところ? 」 「 うん 」 「 じゃあ、俺が言い訳しといてやる 」 「 杏果そこ片したら、3番にあっためた紹興酒とザラメとグラス3つ、酒用のお盆に載せて持って行って 」 それから僕たちは又目が回る用に忙しくなった。姉貴たちのテーブルは対応をほとんど安藤君がしていたから、団さんから預かったものを和也さんに渡さなきゃと思い出したのはバイトの終わる時間になってからだった。 飲兵衛の2人、姉貴と陽子さんに絡まれながら和也さんは割と何時もの通り飲んでも爽やかさは変わらない。 見習いなさいよ後の2人!

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