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第225話
閑話
小次郎のアイドルは、ニャンニャン
その21
団さんというジャーナリストの人、
「 和也さんも前に会ったでしょ 」
と、彼から預かったものがあると言いながら僕が封筒を和也さんの目の前に置く。
団さんは話がしたいと言っていることと、連絡先も一緒に入れてるから中身を見たら連絡をくれないかと伝言されたことを伝える。
訝しむそぶりを見せて和也さんが封筒の中を覗く。 中を見た和也さんが、
あ?という表情をして安藤くんの方を見ると、
「 団さんて人はどんなジャンルの記者なの?知ってる? 」
と安藤くんに尋ねる。
「 確か、社会部の人かな、……前に勤めてたのは在京新聞の社会部だってこと言ってたから、
でも今はフリーだからなんでも扱うんじゃないかな 」
じっとそれを聞いていた和也さんはある質問を安藤くんに問いかけた。
「 お兄さん、
恍紀さんは何年か前に
家からいなくなったことはなかった? 」
「 え?どうして……それを 」
黙ってしまった安藤くんに和也さんが続けて話す。
「 俺は彼を、恍紀さん知っているかもしれないんだ 」
とおもむろに封筒の中のものを出した。
それは少し古くなった週刊誌だった。
週刊 新流という結構有名な週刊誌。
「 これ、9年前の週刊誌。
俺が17歳の時のもの。
多分恍紀さんと俺とは同い年じゃない? 」
「 兄貴は、26歳だと思う 」
やっぱりと頷いた和也さんは続ける。
「 お兄さん何時頃からいなかったの? 」
「 俺が小学生くらいの時5.6年の時かな。
兄貴は高校生だった。その頃から家には出たり入ったりしてて、いやほとんど家にはいなかった。
ときどき帰ってきてオヤジとは会わないようにしてたり…… それから次第に全く家には帰らなくなった。
それがつい一年くらい前にふらっと帰ってきたんです。
それが、
どういうことですか? 」
「 一年前? そんなに長く……」
テーブルに置いたまま汗をかいたグラスのアイスコーヒーを、一口飲んで和也さんはため息をつくと、
「 俺にも半分わかって半分わからない。
だからこの週刊誌を見せた団さんに会ってみないとなんとも言えない……
団さんと話をしてから、もしかしたらお兄さん恍紀さんに会わなくちゃならないかもしれない。
違うな俺がきっと会いたくなる 」
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