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第227話
閑話
小次郎のアイドルは、ニャンニャン
その23
お好み焼き屋さんからいったん出て、外でラインのやりとりをする。
「 結局、サンドラさん、ここに来るって? 」
「 そうみたいだな、このスタンプからいくと 」
文字のないスタンプだらけの返事は、
何故か豚が空を飛んでるスタンプで終わってる。
「 仕方ない、入って待ってようか。
お腹空いてるから食べながらね 」
ともう一度暖簾を分けて引戸を引く。
「 いらっしゃ〜〜い! 」
威勢の良い男女の声に迎えられる。
「 よお、王国しばらくだなぁ 」
「 ご無沙汰してます 」
座ってと大きな鉄板が目の前にドンと置かれたカウンターに案内された。
カウンターも何席かあるテーブルもいっぱいで、それぞれの鉄板からは威勢の良い湯気と焦げるソースの美味しそうな匂いがしてくる。
「 珍しい、友達と一緒? 」
「 そう大学の 」
「 友達と言わずにごまかした? 」
「 よくきてくださいました!
王国が友達連れて来るの
珍しいのよ 」
「 ぇ、そうなんですか? 」
友達にいつも囲まれている安藤君、珍しいなと思いながら思わず口に出た言葉に
「 ガールフレンドや恋人なんてこんなに長く付き合ってるのに一回もないのよね~ きっとステキな彼女がいると思うんだけどなー 」
「 僕は……あの 」
僕が困ったのをちらりと見て
安藤君がすかさず
「 大学の地元じゃないから、来るときはどうしても子どものときのダチとか家族とかになるよね 」
と引き取ってくれた。
そんな話を続ける安藤君と女の人を横目に僕は目の前のカウンターで男の人が焼くイカの丸焼きに釘付けになった。
「 お兄さん、イカ好きなの? 」
「 あ、ハイ!丸焼き食べたことないんです。お醤油の凄くいい香り、美味しそう 」
正直に食べたことないと応えると、
「 ほれっ 」
と掛け声で鉄のヘラの上にはのったイカの足が目の前に。
どうしたら良いかわからなくてキョドッてしまう僕の横から安藤君が、
「 おごり? 」
と言いながらそのまま鉄のヘラを受け取るとお皿に乗せてくれた。
「 二郎さんの奢り、杏果食べてみて、ゲソ本当に上手いから 」
僕が恐る恐る箸で持ち上げたイカの足にかぶりつくと二郎さん?はニコニコしながら見ている。
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