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第232話
閑話
小次郎のアイドルは、ニャンニャン
その28
運転手さんはその会話聞こえてたのか聞こえなかったのか、
「 お客さん、どこの辺で曲がりますか?」
のんびりと聞いている。流石都会の
タクシーマン全く動じてない。
「 あっそこのドラッグストア寄って!」
「 はい 」
ドラッグストアの前で止まったタクシーから降りるとサンドラさんは、
「 ゴム切らしちゃってるからね、買ってくるわ、安藤のサイズはL?XL?
杏果はSでいっか 」
と言いながらお店に入っていった。
「 僕ってSサイズ? 」
少し悲しくなって隣の安藤君に尋ねると苦笑いしながら、
「 綺麗で可愛くて俺は大好きだよ 」
と慰めてくれた。
下げた袋を安藤君に預けてサンドラさんはドラッグストアから100メートルほど離れたビルの中に入っていく。
「 なんか、怖そうなビル 」
と僕が呟くと、
「 超古いな、エレベーターあるのか? 」
と僕の肩を抱いて恐る恐る安藤君も中に入る。
幅3メートルくらいの古そうで細長いビル。奥は10メートル以上あるようだけど細長い廊下には扉が3枚ほど見える。
手前の階段を10段ほど上がったところでサンドラさんが
「 こっちこっち、こっちエレベーター 」
と薄暗い中、手招きをしている姿が猫の妖怪が罠に誘っているように見えた。
「 古いですねぇ、大丈夫なの?このビル 。
エレベーターも点検してます?」
遠慮なく言う安藤君に、
「 うーん築何年だったかなぁ、大分安かったからなぁ
エレベーターは買ってから1度も点検してないわ、そう言えば 」
と腕を組んで考えてるサンドラさん。
「 え! 持ちビル! 」
「 サンドラさんの! 」
と僕たち2人の声が響く。
そりゃ驚くよね。古いといっても新宿にビルを持ってるなんて。
「 悪どく稼いでんな 」
と安藤君が言うと、サンドラさんの持っていた高級そうなバックで思いっきり叩かれた。
小次郎のアイドルは、ニャンニャン
了
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