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第240話

教えて、サンドラさん その8 ひんやりとしたものが額の上から触れるように下がっていく。 うなじのあたりをそれで拭われ、ようやく目が半分ほど開いた。ここは?という疑問がうっすらと意識に上がってくる。 暗い中スタンドの灯りが目に入り思わず目をしかめるとその暗がりから声がかかった。 「 杏果、大丈夫? 」 僕の瞼を覆う指。いい香りがする。サンドラさんの声が更に近くで聞こえた。 「 気がついた? 」 声を出そうとするとケホケホと咳がでる。声は出ないと仕方なく頷くと、 「 声多分渇れてるから……今水あげるね 、噎せないようにね 」 首の下に腕を入れて少し僕の顔をあげると口元にストローが触れた。少し吸うとほどよく冷たい水が流れ込んでくる。 「 どこか痛いところは、ない? 」 ホッとしてしばらくするとまわりを見回すゆとりができる。 痛いところ? 怠い下半身を少し動かしてみると、チリっと孔の周りがひきつれたように痛んだ。わずかに顰めた顔をしてのがわかったようで 「 うん、その周りは軟膏は塗ったから、明日には楽になるよ 」 「 軟膏? 」 水を飲んで少し落ち着いた喉から掠れ声は出るみたいだ。 「 うんそう、痛み止めも入ってるから 」 そうだ、僕は安藤君と、 「 あいつは隣の部屋にいる 」 ハッと気がつき、言おうとした事が伝わったのかサンドラさんが僕にそう応えた。 どうして、僕のそばにいないんだろう?何でとなりの部屋にいるの? 言葉にはならなかったけど、サンドラさんは返事をくれた。 「 うん、ちょっと反省中だから…… 」 どうしたの?反省中ってなに? 「 杏果、今夜は私に任せて。このまま少し休みなさい、ほらこれ飲んで 」 サンドラさんから白いカプセルと水を貰う。最後に何か安藤君にいわれた 言葉……何だっけ? カプセルを水で流し込むと、言葉が頭をよぎった。 『 誰なんだよ!あいつか…… 』 酷く哀しい気持ちがこみ上げてきて、 身体がブルっと震えた。 サンドラさんはそんな僕をタオルケットの上からポンポン叩くと、 「 ゆっくりお休み 。私がそばについてるから 」 と言いながらスタンドの灯りを消した。

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