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第241話
教えて、サンドラさん その9
( 安藤王国 )
静かにドアが開く音がした。ベッドの前に座り込んだ俺が音のした方に顔を向けると、
「 目を覚ましたけど、また薬で休ませたよ 」
と言いながらサンドラさんが入ってきた。
「 なんでああなったんだ?お前の方がコントロールするんだと話したよな 」
低い声でそう言うと前に跪くなり俺の両頰を挟んでその夜の猫のように張った眼を合わせてきた。
視線が泳ぐ、自分でも半分は分からず半分は後悔で潰してしまった気持ちを見透かされたような気がした。
「 安藤、黙ってちゃわかんない……なんで途中からおかしくなった?あいつってなんのことだ?」
そうだ、あいつだよ。俺をおかしくしたのはあいつの痕跡だ。目が充血し鼻の奥がツンとした。左の踝に回るターコイズブルーの石と暗めの色のビーズのアンクレットを踝ごと握って出そうな涙を堪えた。
『 サンドラさんと約束した。あの大きい方のプラグが入るようになってからって、それに杏果と繋がるときは大切な日にしようって決めてるから 』
『 大切な日?』
『 そう、大切な人と繋がる大切な日 』
脳裏に浮かぶあの時の言葉。
『 杏果が俺を信じてくれるのかどうか、俺、ドキドキしてる……こんな気持ちで杏果の中に入りたくない 』
杏果になぜ陰毛を剃っているのか、アイツらと何をしようとしてるのか、話してくれるように迫った時の事が俺の猜疑心を煽る。
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一気に肩から腿まで水着が下げられ、
シャワーの中、杏果の身体はアイツの腕で抱きしめられていた。
胸とペニスはアイツの手で隠されたけど、杏果はカメラの前で全裸。
泣きそうに見える杏果の唇をアイツがはんでいる。くちびるが降りそそぐシャワーの下でくっついたり離れたり、そして杏果はアイツとディープキスを交わしてた。
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あの時見た映像がくっきりと蘇ってるんだ。杏果に初めて俺の逸物を入れた瞬間ににあの映像が……俺を食いしばって離さないとさざめいて喜んだ身体が、あの時のアイツが抱きしめた身体と重なったんだよ。
嫉妬で頭の中がパンパンに膨らんだ。暴走した気持ちを目の前の肉体に叩きつけた。その記憶に頭を抱えて蹲った俺に、
「 安藤! 」
ときつくかけられた声にハッとした。
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