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第245話
教えて、サンドラさん その13
ガチャっと音がして急に空いたドアに俺は固まった。そこに立っていたのは杏果だった。
真っ裸で向かい合う俺たち……え、え?
横には普通のワンピースみたいな服を着たサンドラさんが立ってる。
「 杏果、大丈夫身体は 」
と優しくハグをしている。
なんで、どうして服着てるんだ?
すっかり混乱した俺は真っ裸でぼけっと突っ立っていたらしい。
杏果に
「 安藤君パンツ履いて 」
とお願いされ、濡れそぼった下半身丸出しに慌てる俺をサンドラさんが射抜くような目で見た。
わかりました。そうです。杏果を責める権利なんて俺にはないことを身をもって悟りました。
ごめんな杏果という気持ちを込めてサンドラさんの腕から奪い返した杏果を思いっきり抱きしめた。腕の中で
「 起きた時いなかったの淋しかった 」
という杏果に二度としないという違いを込めて、その柔らかなハニーブラウン色の髪の毛にそっとキスをした。
身支度を整えていると、
「 夜食、お腹すいたよね 」
とサンドラさんがおにぎりを持って来た。
「 あ、大好き 」
とおにぎりを嬉しそうに頬張る杏果を見ながら、俺の酷く自分勝手な行為が杏果には気づかれなかったことに安堵した。サンドラさんは寝ついた杏果の枕もとに"隣の部屋にいるから起きたらおいで"というメモを残し、それを頼りに来た杏果。隣のドアが開いた音で用意しておいた服をさっさと着たらしい。
なんて周到な!俺はサンドラさんと間違いを起こさずに自分の勝手な思いを違いを教えられたわけ。
「 そのくらいじゃないとこの世界でスイスイとやってけないわよ 」
と俺だけに聞こえるようにの賜った声はやけにドスが効いていた。
その後サンドラさんからは長いお小言のメール。面倒で途中で放り出したらすかさずラインの着信。
"あんた、最後まで読みなさいよ!明後日までに反省文よこすこと。そうじゃないとあたしで勃ったこと杏果にバラすよ"
怖い、心底この人怖いと思った。
性的な興奮はなにも感情が伴わなくても起きる。それを愛情の伴った性行為とごっちゃにしてはいけない。まして愛した人をそんなことで傷つけるな。という反省文で締めくくった俺に、
50点というラインスタンプが帰ってきた。50点のわけはその後また知ることになった。(安藤王国 了)
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