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第246話
お兄さんの秘密 (和也) 1
この章は何人か視点が変わります。
特に会話や回想が多いのでいつもより増して読みづらいと思います。
(すみません)
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『 確か、社会部の人かな、前に勤めてたのは在京新聞の社会部だってこと言ってたから、でも今はフリーだからなんでも扱うんじゃないかな 』
俺は安藤君に投げかけた質問の答えを思い出す。
『 お兄さん、恍紀さんは何年か前に
家からいなくなったことはなかった? 』
『 え?どうして……それを 』
黙ってしまった安藤くん。
『 俺は彼を、恍紀さん知っているかもしれないんだ 』
封筒の中のものを出した。
それは少し古くなった週刊誌だった。
週刊 新流という結構有名な週刊誌。
『 これ、9年前の週刊誌。
俺が17歳の時のもの。
多分恍紀さんと俺とは同い年じゃない? 』
『 兄貴は、26歳だと思う 』
やっぱり……
『 お兄さんいつごろからいなかったの? 』
『 俺が小学生くらいの時5.6年の時かな。
兄貴は高校生だった。その頃から家には出たり入ったりしてて、いやほとんど家にはいなかった。
ときどき帰ってきてオヤジとは会わないようにしてたり…… それから次第に全く家には帰らなくなった。
それがつい一年くらい前にふらっと帰ってきたんです。
それが、どういうことですか? 』
『 一年前? そんなに長く……』
テーブルに置いたまま汗をかいたグラスを前に俺は息を継ぐ。
『 俺にも半分わかって半分わからない。だからこの週刊誌を見せた団さんに会ってみないとなんとも言えない……団さんと話をしてから、もしかしたら恍紀さんに会わなくちゃならないかもしれない。違うな俺がきっと会いたくなる 』
と弟の王国君には伝えた。
そして俺は今夜、団さんというジヤーナリストと2人で会う約束をした。
新宿の西口から出て都庁の方向に歩いて行く途中の雑居ビルの地下を指定された。安っぽいかまちの扉にメロディーと書かれたところが、いかにもひと時代前の風情を漂わす。
これで年増のママさんでもいたら如何にもな自称ジャーナリストの好きそうな店だなと中に入ると、カウンターから一番離れた4人がけのボックス席にその人はいた。
いらっしゃいませという声もかからない店。カウンターに目をやるとこちらを見ていた無表情の女性と目が合った。徐にそれから口だけでいらっしゃいという言葉が聞こえた気がした。
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