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第248話

お兄さんの秘密 3 「 あの渋谷の小次郎って店の息子、カウンターの中で調理してるのはあの子だろ?俺と一緒にチンピラに捕まってた 」 団さんの目を見つめながら話を進めた。 「 昔一緒に遊んでた仲間に救われたことがある。その手のやつらの店でウリやってるのがばれて地場の奴らに捕まってAV出ろって、何本か酷いマニア向けのゲイビデオを撮られた。ほとんど軟禁で。そんな時にその子が助けに来てくれてんだ 。金ならあるから解放してくれって。 その金、家から盗んだのか100万くらい持って来たけど、そんなの聞くやつらじゃなくって、2人で組んで撮影させたら100万で解放してやるって言われて、彼と何本かビデオを撮った 」 カップの中のコーヒーを飲み息をついてから続けた。 「 でも今度はそれが恐喝のネタになった。彼は渋谷に家族がいて商売してたらしくて、そっち方面で脅されたらしい。でも、ある日、未成年の裏ビデオ販売してたそいつらの元がガサ入れされて。 急に解放されたんだよ。なんでか俺らのビデオは警察に持って行かれなかったらしくて、後警察からも何もなかったんだ。 それから会うこともないし、俺の知ってる彼の名はあだ名みたいなものだったから、本名も知らなかった。 コウ、そいつの名前はコウって言ってた 」 「 君はビデオに出演させられた、だげじゃないだろう?」 「 ああ、週刊誌の記事の通りかどうか知りたいの?」 「 いや、あれは確かだ。裏も取れてた記事だが、潰されたんだ。相手が大物の息子だった 」 「 それじゃぁ、ほかに何が聞きたい? 俺が知ってるのはあの週刊誌の記事より少ないよ ……ウリやってる時によく買ってくれたのがあいつだったってことぐらいで 」 「 未成年の時に、相手は一人だった?」 「 それは……」 「 組織的に未成年に売春させててんだろ?あの後、事実は曲げられて、ただの遊びで相手は一人になっている、それ以上は圧力がかかったからだ。だけどあの裏には組織があったんじゃないのか?それもあの代議士の息子が主導になってたんじゃないのか?」 「 そんなことは知らない。俺は呼ばれて都合が良ければ相手をしてただけだ!組織とかなんとかそんなこと知らない 」 あの頃の薄ぼんやりとした記憶がそれ以上は喋っちゃダメだと訴えてくる。

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