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第253話
お兄さんの秘密 8 (和也)
「 嶺さんは俺がゲイビデオに出てた理由知ってました?」
俺の言葉に嶺さんはビールを継ぎ足しながら、
「 知ってるっていうか、
あの頃デートクラブを巡って割と大変な事件があっただろ。あのデートクラブ、未成年売春の斡旋やわいせつDVDの販売で莫大な利益を稼いでた。業界ではちょっと話題になってたんだよ。それでさ、おこぼれ預かりたいって芸能事務所もあるわけよ。俺もそんなルートで大方の事は知ってたから、あの時たぶん和也はなんか引っかかってたんだなと思ってた 」
嶺さんの話は少々蕎麦屋で話すにはきついかもしれない、けど、俺は聞かなきゃならない。ほって置いた上手く行き出してから傍に置いといた事実を確かめなきゃならない。
「 そんな俺をモデルに誘って、怖くはなかったんですか?」
「 俺お前の出てたDVD見たことあったから、カフェで見かけた時にあっこいつと思って声かけた。お前の口は固そうだし、イケてるから誘ったんだ。それにそんな過去もつやつなんて沢山いるよ、俺も商売人、ゴシップで有名になってくなんてテクの一つだろう?
今頃のマスコミなんてそんなの探して歩いてるよ 」
嶺さん、前から割り切った人だと思ってたけど、やっぱりかなりこの人ディープな人なんだよね。
「 それに俺、和也のこと気に入ってただろ?何年か前までは本当に恋人にしても良いと思ってたから、不味くなったら上手く隠してやろうとは思ってた」
「 それなのに、僕が服飾に興味持って、それで好きにさせてくれたのは?」
「 飽きたから 」
と言って笑う嶺さんに俺は冗談でしょと笑って良いのか、がっかりして泣いたら良いのかわからなくなってた。
「 俺はあの事件の後は嶺さんのお陰で一切そっち方面とは切れたんだけど、あの当時俺を気に入ってしょっちゅう呼びだしてた男がそのデートクラブの黒幕じゃないかって週刊誌に書かれてた 」
持ってた週刊誌を嶺さんのそばに置いた。その見出しをチラ見した嶺さんは
「 これ結構前の週刊誌だろ?
今更って言っても、和也が聞きたいことがあるから持ってきたんだろうなってのはわかるからさ、それで何が聞きたい?」
「 この記事どこまで本当なんですか?なんであの人は捕まんなかった?」
例さんは俺をジッと見て話し出した。
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