256 / 325

第256話

お兄さんの秘密 11 「 お前たちのDVDは上客用だったらしいから大分高く売りつけたんだろ、クラブの客まで一緒に乱行しててかなり際どかったもんな、押収された中にはなかったんだろう 」 「 嶺さんはなんで見れたんですか?」 「 うん?俺?ちょっと遊んでて……」 怪しい人だな、またはぐらかされた。 「 焼け木杭火をつけちゃう、超久しぶりに今夜どう?」 と冗談か本気かわからない誘いをしっかりと断って嶺さんと別れた俺は、アルバイトを上がる時間かもしれないと杏果に連絡をしてみた。 留守番電話に繋がったスマフォをポケットに入れその頭を冷やすために一駅分を歩いた。 麻布十番から恵比寿方向に歩いている間に着信があったのを気がつかなかった。恵比寿駅についてもう一回杏果に連絡しようとして初めて気がついた。 着信履歴は杏果からだった。 ーーーーーーーーーーー 杏果と安藤君、学校が集まる人通りの少ないとあるビルの近くで 「 あ、あの車、洸紀さんを乗せたの 」 「 そっか、運転席にだれかいるし、後ろにはハイヤーが着けてる……」 ビルの入り口は電気もつけられていない、真っ黒な中で静まり返っている。 斜め向かいにちょうど良く神社の入り口があったのでそこの石塀の陰に2人で隠れた。 時間を見ようと出したスマフォに着信側あった。音を消していておまけにバッグの中に入れていたからバイブにも気がつかなかった。 「 和也さんからだ……どうしよう掛け直してみようかな 」 安藤君がうんと頷いたので、和也さんの履歴をタップした。応答はなくそのままスマフォを握ってビルの出入り口を見ていると、こんどは和也さんから着信があった。 大きな音に気がついて慌てて通話にする。 「 杏果?ごめん気がつかなかった 」 「 和也さん?」 「 ああ、杏果、今どこいいる?バイトはもう終わった?」 「 うん、バイトは終わったんだけど……」 「 俺さ、杏果に頼みたいことがあって、安藤君のお兄さんに合わせてもらうように頼みたいんだけど 」 「 え!安藤君のお兄さんに?」 びっくりして大きな声が出た僕の口を安藤くんが咄嗟に手で塞ぐ。 急にもごもごした僕に 「 杏果?どうした?何かあった?」 と和也さんの声が聞こえる。 その時、安藤君の肩をポンと叩いた人がいた。

ともだちにシェアしよう!