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第260話

お兄さんの秘密 15 足音だけ聞こえてる。 しばらくすると小声で、 『 王国いないなぁ……うわぁ更に隣のベランダにいるわけね 、 ショウチャーン 』 どうしたの?安藤君と会えたのかな? 僕の胸のドキドキは頂点だ! 又サッシの音。 『 すみません、やっぱりいないや、 ごめんなさい!ありがとうございました 』 そこで通話は途切れた。 僕は又ベランダに出てみる。 隣はどの部屋も厚くカーテンがかかっているのか明かりすら漏れない。 「 あーー怖かった〜 」 照さんがそう言いながらペット用のカゴを下げて帰ってきた。 「 すごいよ、お隣さん。屈強な男が少なくとも4人リビングと奥の部屋の前で用心棒してる。なんだろうね、なにしてんだろう。 よっぽど偉い人でもいるのかねえ。 でもさ、盗聴器ちゃんと仕込んできたから」 「 はぁ?盗聴器!」 「 そうコンセント型の、ソファの陰になってる所と、玄関の隅と、あとは王国にベランダで2個ほど渡して来たよ 」 「 え?安藤君部屋に入ったら危なくない?」 「 うーん、どうだろう〜、王国のいた向こう側のベランダはお隣のビルに跳び移れそうだから、逃げられるんじゃないかな~」 僕は不安で胸が張り裂けそうになった。 そうだ! 「 照さん、ここに女の人の洋服置いてある?」 「 え?なんで?どうだったかな、藍ちゃんなんか置いてある?」 「 えーと、私のですか〜確かありますよ~ この間ケーキ屋さんのオープニングで着たドレスが〜」 あの人は藍ちゃんと言うらしい。 出してきたピンクのフリフリのワンピースはゆったりとしたデザインだった。 これなら着れそう。 「 僕それを着て隣に行ってみる 」 びっくり顔の照さんと藍ちゃんからその女物のワンピースを引き取った。 「 杏果ちゃん、隣に乗り込むの?」 着替えてるそばから面白そうな照さんをきっと睨んだ。 「 女の子だったら油断するかもしれないし、入れてくれるかもしれない 」 「 でもさ、秘密のデートクラブだったりしたら、襲われちゃうよね 」 となぜか凄くニコニコしながら言う照さん。 その時又スマフォが鳴った。 和也さんからだった。

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