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第261話

お兄さんの秘密 16 ( 王国 ) ベランダにテレビの刑事もののように降り立ったはいいけど、中のカーテンはしっかり引かれていて様子が全然わからない。一番手前のサッシに手をかけるけど鍵がかかってるな。 どうしようかと思ってると、その隣のベランダで窓のカーテンの揺れるのが見えた。 よし、隣に渡ろう。 手すりに手をかけて上に立つ。高所が大丈夫な俺も流石に5階は足がすくむものがある。 下を見ないように隣のベランダに飛び降りた。少し足の音がしたから慌てて壁に張り付いて様子をみた。 カーテンが引かれた窓は少し開けられたようで薄暗い明りがその隙間から漏れている。 部屋は全く音もしない……窓を開けた人物は部屋を出て行ったようだ。 その時、俺がいたベランダの窓が開いてショーちゃんとかいう間抜けな声が聞こえて来た。 あれ?あの声は?まさか照さん? 後ろを伺うと、俺に気づいた照さんが指をくいくい曲げて呼ぶので近づくと満面笑顔の照さんが何か俺に渡そうとしている。 なに?と手を出すとコンセントみたいなものを二個放り投げて来た。 「 なんですか?」 と小声で聞くと、向こうも小声で 「 コンセント型盗聴器 」 「 盗聴器!」 「 それコンセントにさして、こっちの部屋で音拾うから 」 バイバイと手を振りながら、自分はさっさと開けた窓から帰っていった。 盗聴器か、この窓の空いてる部屋に入らないとコンセントにはさせないな。 意を決して少し空いてる隙間をオレが通れるほど開くと部屋に侵入した。 薄暗いけど家具の位置はわかる。 大きなベッドがあって、何か荷物が置いてある。壁にはコンセントのプレートがあるはずと探すと、ベッドの陰になるところと、置いてある荷物の裏にコンセントのプレートがあった。早速コンセントをさしたその時、出入り口のドアが開いた。 慌ててベッドとカーテンの隙間に身体を押し込むとカーテンの裾をめくってガラスとの間に身体を隠す。 ベッドサイドのスタンドの明かりが灯ると男2人の声がした。 1人は兄貴の声? 2人は口喧嘩をしているようだった。 「 あんなのまだ子どもじゃないか 」 「 お前には関係ない、俺の言うことを聞けばいいんだよ!昔みたいに 」 「 いやだよ!あんなこともうしない!」

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