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混沌クライシス②

 ◆ ◆ ◆ 「おい、風邪を引くぞ?」  気が付けば、同じ高さから、鮫島に揺すられていた。今が何時だか分からないが、もう夕方だ。 「おい!」  再度、奴が揺すってくる。気は付いているが、俺は得意な狸寝入りを決め込んだ。今日は絶対に奴と会わないと決めた。話も交わさない。あんたは俺が居なくとも、大丈夫だろう?此方は、そう思っているのに、鮫島はこんな時に限って、優しさを振り撒いてくる。別に寒いなんて言っていない。毛布なんて掛けんじゃねぇよ。 「……スエキ」  真面目に名前なんて呼ぶな。近寄るな、髪を梳くな、人の寝顔にキスするな。好き放題され、文句を言ってやりたかったが、俺は自分の意志を貫いた。反応なんざ、決して見せてやるものか。 「……行ってくる」  俺が起きなかったからか、鮫島は、そう呟いて何処かに出掛けて行った。去り際に俺の額にキスをして……。

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