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恋人保護プログラム③
「今の関係を終わりにして、俺と結婚してください」
俺の視界の端、鮫島は此方に向かって跪き、気付けば、婚約指輪を差し出す仕草をしていたのである。
「きゃーっ」と悲鳴が上がり、少ししてから、また静かになった。
恐らく、俺の答えを待っているのである。
「……はい」
俺が左手を差し出した瞬間にスタジオ内から、一際大きな悲鳴が至る所から上がり、ゆっくりと照明が明るくなった。俺は流れ的に答えただけだ。不覚にも、ほんの少しだけドキリとしたかもしれないが、本心では無い、絶対に。
「いやー、ドキっとしましたねぇ。彼氏と彼女の関係じゃなくて、夫婦になりましょうっていうのが……、とても良いコーナーでした」
司会者が乙女のような顔をしている。
「では、最後になりますが、お二人にお互いの良い所、または尊敬出来る所を一つお聞きしたいと思います。西海史さんから、どうぞ」
台の前に立ったまま、エンディングを迎える。
「鮫島さんの尊敬出来る部分は、集中力が凄いことですよね。あと、繊細な文章を書くことが出来ること。彼は作家になるために生まれてきたのかもしれません。皆さん、そんな鮫島さんの全国本屋大賞受賞作"すずらん駅の恋"、是非読んでください」
俺は読んだことは無いが、ちゃっかり宣伝はしておいてやった。正直言うと、読まないんじゃない。読めないんだ。
俺はあんたに有益になることを言ったぞ?だから、あんたも俺に有益になることを言ってくれるよな?
「はい、小説もご紹介頂きました。では、鮫島さんは、どうでしょう?」
「顔」
「はい?」
ニコニコ顔だった司会者の表情が少々曇った。おい、見てみろ、俺の表情も曇ってるぞ?
「コイツの良い所なんて、顔しか無いでしょう?」
大画面に映った真顔が言い放った。
「なっ!」
最後の最後まで、鮫島は真顔で会場の笑いを掻っ攫って行った。
「はい、本日のゲストは俳優の西海史スエキさんと作家の鮫島史さんでした。ありがとうございました」
そして、スタジオは拍手に包まれたのだった……。
◇ ◇ ◇
ゆかりんりん @yukaR
スエキくん、犬みたいでマジ可愛かった。
そるじゃーK @sorusoru
鮫島さん、流石でした。
というか、イケメン過ぎ。
須崎楓 @kaede17
馬鹿っぽくて好き。
え?
西海史スエキの話だよwww
KING @kkking
鮫島さんの毒舌やばかった
でも、そこが良い
腐女っ子まいこ @Fujyo1810
鮫島×スエキ
好き過ぎる!!!!
ラウルラフル @RLR003
鮫島さん原作で
西海史さんキャスティングしたら
面白いんじゃねぇの?
…………etc
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