8 / 12
フラれた
ぎゅっと唇を噛み締め俯く俺の両頬に大きな手が包みこむ。ぐいっと上を向かされ目が合った。
「で、さっきは何て言いたかったんだ?」
「えっと、そのう…たいしたことないから」
目をそらそうと顔を動かすがガッチリつまれて動かせなかった。
「青葉…せん…せい。手…離して…」
「高橋が本当のことを言うのなら離す」
青葉先生の温かく大きな手の中にずっといたいと思いながらも、直視に耐えきれず目をぎゅっと瞑る。
知りたい、でも知りたくない。先生に聞いてすっきりしたいのに。でもまだ先生と、この関係を終わらせたくない。
「高橋、目開けて俺を見ろ」
恐る恐る目を開けると青葉先生の優しい微笑みが飛び込む。
やべぇ!ドキドキがとまらない!!
「ゆっくりでいいから」
そんな表情でそんなこと言われたら…。
俺は噛み締めていた唇をゆっくりと開いた。俺の気持ちを伝えるために。
「…先生、俺のこと…嫌い?迷惑…かな?」
「嫌いじゃないし、迷惑じゃないよ。高橋が毎日傍にいてくれて、好きって言ってくれてうれしい」
「じゃぁ!恋人に…」
「それは…駄目だ。俺は教師なんだよ。生徒を導き見守るのが教師の役目だ。わかるか?」
「…うん。でも、俺、それでも先生がすっ、んん!」
言い終わらない内に青葉先生の手が俺の口を塞ぐ。
「高橋、ごめんな」
苦しそうに謝る青葉先生の表情と今振られたんだと理解した瞬間、胸が痛くて苦しくてポロポロと涙が溢れだす。
ともだちにシェアしよう!