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フラれた

ぎゅっと唇を噛み締め俯く俺の両頬に大きな手が包みこむ。ぐいっと上を向かされ目が合った。 「で、さっきは何て言いたかったんだ?」 「えっと、そのう…たいしたことないから」 目をそらそうと顔を動かすがガッチリつまれて動かせなかった。 「青葉…せん…せい。手…離して…」 「高橋が本当のことを言うのなら離す」 青葉先生の温かく大きな手の中にずっといたいと思いながらも、直視に耐えきれず目をぎゅっと瞑る。 知りたい、でも知りたくない。先生に聞いてすっきりしたいのに。でもまだ先生と、この関係を終わらせたくない。 「高橋、目開けて俺を見ろ」 恐る恐る目を開けると青葉先生の優しい微笑みが飛び込む。 やべぇ!ドキドキがとまらない!! 「ゆっくりでいいから」 そんな表情でそんなこと言われたら…。 俺は噛み締めていた唇をゆっくりと開いた。俺の気持ちを伝えるために。 「…先生、俺のこと…嫌い?迷惑…かな?」 「嫌いじゃないし、迷惑じゃないよ。高橋が毎日傍にいてくれて、好きって言ってくれてうれしい」 「じゃぁ!恋人に…」 「それは…駄目だ。俺は教師なんだよ。生徒を導き見守るのが教師の役目だ。わかるか?」 「…うん。でも、俺、それでも先生がすっ、んん!」 言い終わらない内に青葉先生の手が俺の口を塞ぐ。 「高橋、ごめんな」 苦しそうに謝る青葉先生の表情と今振られたんだと理解した瞬間、胸が痛くて苦しくてポロポロと涙が溢れだす。

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